サステナブル調達について

サステナブル調達方針

環境・社会的な側面を考慮して、当社では住友ベークライトグループの各社による調達活動に適用されるサステナブル調達方針を策定・公表し、持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、当社グループのみならず取引先にも方針に合わせた行動をお願いしています。 企業に対する社会的な期待の変化に対応し、今後も定期的に方針の内容をサステナビリティ推進委員会で確認し、必要に応じ内容を見直す予定です。

サステナブル調達方針 (2024年11月1日 改正)

住友ベークライトグループの調達部門は、事業における社会的責任を果たすため、原材料・設備の調達に際し、サプライチェーンのお取引先の皆様のご協力を得て、以下の方針に基づく社会に配慮した調達活動を行います。

サステナブル調達について

  • 人権・労働、安全衛生、倫理、環境などの項目に関し、現地の法規制の遵守に加え国際的な基準も尊重した調達活動を行います。同時にお取引先にも同様の対応をお願いしていきます。

主なサステナブル調達項目

(1)人権・労働・安全衛生

  • 児童労働・強制労働・差別・ハラスメント等の非人道的待遇の禁止
  • 適切な賃金(最低賃金を上回りかつ生活賃金を満たす)と手当の支払い
  • 適切な労働時間管理と休日の確保
  • 結社の自由および団体交渉権等の尊重
  • 責任ある鉱物調達の実施(原産地と流通過程の把握、認証された精錬・加工業者からの調達の推進)
  • 労働安全衛生の確保

(2)倫理・情報セキュリティ

  • 公正で自由な競争の推進(独占禁止法の遵守等)
  • 腐敗防止(贈収賄防止、マネーロンダリング・テロ資金供与規制遵守、反社会的勢力との関係排除等)
  • 個人情報保護、機密情報の漏洩防止

(3)環境

  • 地球環境の保全
  • 環境負荷低減・気候変動対策への取り組み
  • エネルギー消費の削減および温室効果ガス排出の削減
  • 汚染防止(大気・水質・土壌)
  • 持続可能な水資源の利用
  • 廃棄物削減と資源の有効活用(リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化))
  • 生物多様性の保全への取り組み
  • 環境負荷低減の取り組みの一環として、「グリーン調達ガイドライン」を定め、グリーン調達を実施します。

公正な商取引について

  • 取引先の選定は、公平・公正に行います。
  • 取引先とは対等で相互信頼関係を築くとともに維持し、相互の利益となる取引を目指します。

安定調達について

  • 材料・設備の調達に当たっては次の項目を重視します。
    (1)適正な品質を維持し技術の向上に努めていること
    (2)納期を遵守すること
    (3)市場競争力のある価格であること
    (4)供給の安定性が確保されていること
  • 事業継続計画(BCP-Business Continuity Plan)については、原材料の調達リスクの事前低減、発生した場合の対応を別途規則で制定します。

情報の維持管理について

  • 取引に必要な情報は可能な範囲で積極的に開示します。
  • お取引先から入手した購入に関する情報は、厳格に管理し機密保持に努めます。

知的財産権の保護について

  • 知的財産は重要な経営資産であるため、自社の権利を保護するとともに他社の知的財産を尊重します。

RBA行動規範について

  • RBA(責任ある企業同盟)行動規範は 、電子機器業界のサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、そして労働者に対する敬意と尊厳を持って処遇すること、さらに環境への責任とともに、業務を倫理的に行うための基準で、電子機器業界のデファクトスタンダードです。 住友ベークライトグループはRBAのメンバー企業ではありませんが、多くの顧客が電子産業に属しています。このため上記で規定した独自の方針に加え、RBA行動規範に沿った調達活動に努めます。
  • サプライチェーンのお取引先の皆様にもRBA行動規範に沿った事業活動をお願いしていきます。

サステナブル調達の体制

  • サステナブル調達の推進に関しては、調達本部は、サステナビリティ推進委員会の管理のもと、関連するコーポレート部門等と連携しながら取り組みを推進しています。
当社グループのサステナブル調達の体制図

サステナブル調達の取り組み

取引先との関係

  • 当社工場ならびに国内外グループ会社の所管原材料、燃料、建屋設備機械の購入全般は、調達本部が総括、調達を行っています。
  • 当社では、原材料・設備などを購入する取引先の選定は、社内規則で選定基準を定めており、すべての基準を公平、公正に判断したうえで定められた手続きにより取引開始を決定しています。 取引先の選定基準には、企業の社会的責任、環境負荷低減の取り組みを掲げています。 取引先とは常に対等かつ相互信頼関係を構築し、取引が双方に利益をもたらすことが重要と考えています。

コンプライアンスへの対応

  • 業務遂行にあたっては、国内外の法令、規則や社会規範の遵守に努めるとともに、取引先に対しても同様のお願いをしています。
  • 原則として原材料・設備などを購入する取引先とは取引基本契約書の締結をお願いしており、その中で、人権・労働・安全衛生・倫理等に関わる法令遵守、環境の保全、および企業の社会的責任を双方が果たすことを取り決めています。
  • 原材料が国内外の化学物質規制に適合しているかについては、新規原材料採用の際に確認するという社内ルールを設けており、適合しなければ採用しません。化学物質規制については、社内関係部署で連携して調査し、違反とならないよう取り組んでいます。
  • 取引開始にあたっては、「下請代金支払遅延等防止法」に該当するかどうかの確認も行い、該当する場合は同法ならびに社内ルールに従って対応し、また、既存の取引が同法に該当することが判明した場合は、速やかに適法に対応しています。

カーボンニュートラルへの対応

  • カーボンニュートラルへの対応として、2024年分の国内各事業所向けのグリーン電力の確保、契約まで完了しており、2025年分の確保契約に向け作業を進めています。太陽光発電についても関係部門と協業し、主要な国内事業所については導入済み、または導入中となっているほか、海外各事業所でも導入を進めております。
  • カーボンニュートラルに影響を受ける原料の調査、代替品の評価も開始しました。グリーンケミカル調達については、バイオPEの確保、リグニン、フルフリルアルコールの供給枠確保、バイオフェノールやバイオメタノールの市場調査を実施しています。また、持続可能な原料調達を目指し、一部原料について、動物性油脂から植物性油脂への素原料変更も実施しました。

安定調達への取り組み

  • 当社の調達本部では、原材料製造者の監査を実施しています。多くの場合、生産・品質部門が行う品質監査と同時に実施しますが、監査項目、判定基準は調達本部独自のもので、供給安定性の調査を行っています。会社全体、該当事業、原料調達、設備、立地、製造現場、作業者、当社との関係等の状況を調査し、総合的に判定します。改善が必要と判断した場合は、文書で改善項目を提示し期限を定めてご回答いただくようお願いしています。
  • また、当社の調達本部では、原材料製造者のBCP確認をするとともに、原材料の製造工場所在地のリストを作成・更新しており、災害発生時には、取引先工場の被災状況の確認と対応策の策定を行います。

調達部門の従業員に対するサステナブル調達に関する教育

  • 2024年10月に、当社の調達本部のメンバー17名を対象として、サステナブル調達の意義やメリット、サプライチェーンにおける社会・環境課題の事例 (児童労働・強制労働・劣悪な労働環境・贈収賄・環境破壊等)、サステナブル調達の手順・手法についての教育を実施しました。

サステナブル調達アンケート調査

  • 2023年度の取り組みとして、セグメント毎の原材料購入実績上位90%を占める主要サプライヤー114社に対しアンケート調査を実施し、107社より回答を入手しました。
  • 調査票は JEITA(電子情報技術産業協会)が策定した「責任ある企業行動ガイドライン/自己評価シート詳細版」を用い、「1.法令遵守・国際規範の尊重、2.人権・労働、3.安全衛生、4.環境、5.公正取引・倫理、6.品質・安全性、7.情報セキュリティ、8.事業継続計画、9.管理体制の構築」の9分野にて各項目100点満点での自己評価をつけてもらう形で実施しました。
  • 調査の結果、一定基準を下回る項目がある対象16社に対しては当社より改善要望を出し、より適切な調達が出来る体制を整えていきます。

調査結果

対象 実績 (目標)
2023年度 (2024年度)
サステナブル調達率(%)※1 グループ※2 82% (≧85%)
  • ※1 セグメント毎の原材料購入実績上位9割を占める主要サプライヤーのうち、サステナブル調達アンケートの回答が所定の基準を満たすサプライヤーの割合。
  • ※2 住友ベークライト㈱および住友ベークライト㈱が議決権の 50%超を直接または間接的に保有する会社
項目 2023年度
平均点
項目 2023年度
平均点
1.法令遵守・国際規範の尊重 92 6.品質・安全性 99
2.人権・労働 86 7.情報セキュリティ 78
3.安全衛生 87 8.事業継続計画 76
4.環境 96 9.管理体制の構築 82
5.公正取引・倫理 91 全項目平均 88
  • サステナブル調達アンケート調査については、下記リンクもご覧ください。

責任ある鉱物調達への対応

責任ある鉱物調達の推進

  • コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国等の「紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)」で採掘されるスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの鉱物の使用が、武装勢力への資金供与、強制労働や児童労働を含む人権侵害、環境破壊、マネーロンダリング、汚職、脱税等(OECD Annex Ⅱリスク)の不正行為につながることが懸念されています。
  • 当社グループでは、「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(OECD DD ガイダンス)」に基づいた適切な評価(デュー・ディリジェンス)を実施することで、不正行為につながる鉱物を当社グループの製品に使用しないよう取り組んでいます。

住友ベークライトグループ責任ある鉱物調達方針 (2023年10月1日制定)

  • 住友ベークライトグループでは、コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国等の「紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)」における「武装勢力への資金供与、強制労働や児童労働を含む人権侵害、環境破壊、マネーロンダリング、汚職、脱税等(OECD Annex Ⅱリスク)」の防止のため、当社グループによるスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの鉱物を含む原材料・部品の使用にあたり、以下に挙げた責任ある鉱物調達を推進します。
    • 「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(OECD DD ガイダンス)」にしたがって、サプライチェーンを適切に管理します。
    • 調達取引先に対し、「責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)」が推進する「責任ある鉱物保証プロセス(RMAP)」 に準拠した製錬/精製所から対象鉱物を調達するよう要請します。
    • CAHRAsから産出または精錬/精製された対象鉱物の全てを使用しないということではなく、CAHRAsから産出または精錬/精製された対象鉱物であってもOECD Annex Ⅱリスクに関わっていない対象鉱物は使用します。
    • サプライチェーンにおいてOECD Annex Ⅱリスクの可能性を発見した場合は調達取引先を通じて是正要請を行い、是正状況に応じて取引停止も含めた検討を行います。
    • 調達取引先と当社グループの「調達方針」及び「責任ある鉱物調達方針」を共有し、サプライチェーンを通じて製錬/精製所に関する情報提供を調達取引先にお願いするとともに、CAHRAsにおけるOECD Annex Ⅱリスクの排除、軽減に貢献するよう調達取引先と対話や協働に努めます。

取り組みのフレームワーク

  • 当社グループはOECD DD ガイダンスによる「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・ディリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に沿った取り組みを行っています。

    【ステップ1 強固な管理システムの構築】

    • 当社グループは、「住友ベークライトグループ責任ある鉱物調達方針」を定め、業界標準である手法RMIの発行する紛争鉱物調査テンプレート(CMRT)/拡張鉱物調査テンプレート(EMRT)およびRMAPを利用し、自社製品に含有する対象鉱物のCAHRAsにおけるOECD Annex Ⅱリスクの有無について管理する仕組みを構築しています。

    【ステップ2 サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価】

    • 当社グループは、定期的に、購入している原材料・部品から調査が必要なものを抽出し、RMIの発行するCMRT/EMRTを利用した精錬所/精製所の調査を行っています。また、調査ではスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの意図的添加・使用の有無、原産国の確認、製錬所/精製所の特定等(RMAP適合製錬/精製業者リストに掲載されているかどうかの確認も含む)を行っています。
    • CMRT、EMRTともに、回答単位を①会社全体②製品別③指定対象から選択できるように設計されていますが、住友ベークライトグループの製品に使用される部品・材料に含まれる鉱物の製錬業者/精製業者を確実に確認するため、調達取引先に対して、納入製品を特定した回答を要請しています。
    • また、当社グループは、新規原材料採用時にも、上記と同様の調査を実施しています。

    【ステップ3 特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施】

    • 当社グループは、継続的なリスク軽減を行うため、定期的に、責任ある鉱物調達調査計画を策定し、最新情報のアップデートと再調査を行います。
    • 当社グループは、調達取引先がOECD Annex Ⅱリスクの高い製錬/精製所を使用している場合はそのリスク内容を伝達し、改善に向けた適切な対応を調達取引先と協議しながら進めます。また、OECD Annex Ⅱリスクとの関係が明確になった場合は、当該調達取引先と取引停止に向けた検討を行います。

    【ステップ4:独立した第三者による精錬/精製業者のデュー・ディリジェンスの監査を実施】

    • 当社グループは、調達取引先に対し、RMAP適合製錬/精製業者リストに掲載された精錬/精製所から対象鉱物を調達するよう要請します。なお、RMAP適合製錬/精製業者となるための監査は独立した第三者による監査である必要があります。

    【ステップ5:サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関する年次報告】

    • 当社グループの責任ある鉱物調達に関する活動報告を、WEBサイトで公表いたします。

調査結果

  • 2023年度 責任ある鉱物調達 調査結果

    【スズ・タンタル・タングステン・金(3TG)】

    • 当社グループでは、スズ・タンタル・タングステン・金(3TG)を使用・添加した原材料・部品34品番を取り扱う調達取引先16社に対しCMRTを用いた調査を実施しました。CMRT回答率100%、RMAP適合精錬所使用率は100%でした。

    【コバルト・マイカ】

    • 当社グループでは、コバルト・マイカを使用・添加した原材料・部品8品番を取り扱う調達取引先8社に対しEMRTを用いた調査を実施しました。EMRT回答率は100%でしたが、法令対応ではないことを理由に精錬/精製所の情報の開示にご協力いただけない調達取引先があること、コバルト・マイカ(特にマイカ)はRMAP適合精錬/精製所の数自体が少ないことなど、当社グループのみでは対応困難な課題があります。
対象 鉱物 実績 (目標)
2023年度 2024年度
責任ある鉱物調達
調査結果
3TG(スズ・タンタル・タングステン・金)
グループ※1 3TG
合計
原材料・部品数 34品番 -
CMRT回答率 100%
(16社/16社)
(100%)
RMAP適合精錬所
使用率※2
100%
(101か所/101か所)
(100%)
スズ 原材料・部品数 31品番 -
CMRT回答率 100%
(13社/13社)
-
RMAP適合精錬所
使用率※2
100%
(98か所/98か所)
-
タンタル 原材料・部品数 0品番 -
CMRT回答率 - -
RMAP適合精錬所
使用率※2
- -
タングステン 原材料・部品数 2品番 -
CMRT回答率 100%
(2社/2社)
-
RMAP適合精錬所
使用率※2
100%
(2か所/2か所)
-
原材料・部品数 1品番 -
CMRT回答率 100%
(1社/1社)
-
RMAP適合精錬所
使用率※2
100%
(1か所/1か所)
-
責任ある鉱物調達
調査結果
コバルト・マイカ
グループ※1 コバルト 原材料・部品数 4品番 -
EMRT回答率 100%
(4社/4社)
-
マイカ 原材料・部品数 4品番 -
EMRT回答率 100%
(4社/4社)
-
  • ※1 住友ベークライト㈱および住友ベークライト㈱が議決権の 50%超を直接または間接的に保有する会社(2023年度の調査ではVaupell Holdings Inc. およびその子会社、北海太洋プラスチック㈱、住べテクノプラスチック㈱を除く)
  • ※2 RMAP: 責任ある鉱物保証プロセス(Responsible Minerals Assurance Process)
    RMAP適合精錬所使用率=RMAP適合精錬所数/精錬所総数*100
    同一調達取引先・同一原材料で、複数の精錬/精製所を使用する場合があります。
  • 責任ある鉱物調達の調査結果については、下記リンクもご覧ください。

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