研究開発方針

イノベーションへの取り組み

コーポレート研究開発では、当社グループの持続的成長に欠かせない「環境・社会価値を有する新商品」の創出が重要だと考えています。将来有望な研究開発テーマはプロジェクトを結成し、熱意のあるメンバーを集めて、短期集中で開発を進めます。前中期経営計画期間には、電子調光デバイスや放熱材料などをプロジェクトから事業部門に引き継ぎました。これらの製品はまもなく事業に貢献する見通しです。そして新中期経営計画期間は、光回路材料やBMI(Brain Machine Interface)、環境対応といったテーマをプロジェクト化し、開発を進めていきます。
また、新事業テーマの発掘も長期的観点から重要です。新中期経営計画では、戦略3領域として、①ICT、②モビリティ、③ヘルスケアを定めましたが、これに加えて、エネルギーや環境対応のような社会課題を解決する素材の開発も重要なテーマとして考えています。これらの分野にかかわる研究開発テーマを、一つでも多く事業化することが私たちの使命です。当社は過去に事業化できなかった研究テーマをレビューした上で、その要因を明確にするイノベーションマネジメントシステム(IMS)を構築し、運用を開始しました。これまで属人的だった基準を明確にしたことで、研究開発の成功確率が高まるとともに、意思決定のスピードアップや研究者のレベルアップにつなげていきます。
これらの取り組みに加えて、「One Sumibe活動」を活用した既存事業の支援や、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)、オープンイノベーションの推進による研究開発の効率化にも力を入れていきます。同時に、人材交流、情報共有を活発に行い、個々の研究者の人間力を高めることや対話によるアイデアの創出にも注力します。当社のような中規模の企業では、研究者間や他部門とのシナジーがサステナブルな事業活動に貢献できると考えています。2030年度にはこれらの施策を通して新事業テーマを創出し、事業利益100億円を目指します。

新事業テーマの発掘と
プロジェクト化の推進で、
持続的なイノベーション
創出体制を構築する

執行役員 研究開発本部長

中西 久雄

執行役員 研究開発本部長 中西 久雄 執行役員 研究開発本部長 中西 久雄

Innovation 01 期待案件のプロジェクト化推進

研究者からボトムアップで提案を受けたテーマからプロジェクトを創出する取り組みを進めています。その中で、将来的な期待が持てる製品は順次事業開発部に昇格させたいと考えています。また、各研究所から挙がってきた将来の事業化の可能性が高い技術や製品についてもプロジェクト化することで重点的にリソースを投入し、イノベーションの創出を狙います。

Innovation 01 期待案件のプロジェクト化推進

Innovation 02 新製品開発を強化

「新製品」創出のために、先進的な研究をおこなっている大学や企業との協業を積極的に進めています。また、自分たちにできることを環境・社会課題と結び付け、提案ができる人材の育成も進めています。その一環として2023年度からは、これまで実施していた研究所長会議に加えて、若手研究者の交流会も始まりました。

住友ベークライトの基盤技術

住友ベークライトの基盤技術

私たちの目標はICT、モビリティ、ヘルスケアの3つの重点領域に、多彩な製品やサービスを展開し、循環型社会の実現に貢献すること。それを支えるのが、「材料設計」「加工・複合」「評価解析」といった、住友ベークライトが誇る基盤技術です。

Innovation 01 期待案件のプロジェクト化推進

研究開発

新たな価値を生む、革新的な製品群

研究開発活動では、ICT、モビリティ、ヘルスケアの戦略領域において、SDGsへの貢献とカーボンニュートラルの実現に向けて、社会・顧客ニーズに応える研究テーマの構想・企画、技術開発をスピード感を持ってシームレスに行うことを目指しています。
分子設計や触媒技術を用いて新たな機能を発現する「材料設計」、有機/無機の配合や成形などで従来の樹脂にない機能を発現する「加工・複合」、構造と機能の関連を解き明かす「評価解析」を基盤技術として、さらなる製品開発能力の増大を目指しデータ駆動型開発への移行を推進しています。
2023年度には、「次世代パネルレベルパッケージ用顆粒封止材」「パワーモジュール向け高耐熱TIM用Agシンタリング材」「12W高放熱ボンディングシート」「センサー用ポリシクロオレフィン樹脂」「狭窄治療用ステント」「糖鎖分析自動前処理用サンプル調製キット」などの新製品を開発・上市しました。

●研究開発費(2023年度)

グローバルニーズに応える国内外の研究体制

国内は、研究開発の中長期的視野に立ち、新製品やその要素技術の研究を担当する先端材料研究所およびバイオ・サイエンス研究所、生産技術開発を担当するコーポレートエンジニアリングセンターのほかに、新製品の商品化や既存製品の改良研究を担当する5つの応用研究所という体制をとっています。国外では、米国オハイオ州アクロンに設けたコーポレート部門拠点をはじめ、半導体関連材料の拠点や高機能プラスチック関係拠点を、欧米・アジアの各国・地域にそれぞれ設けています。
また、組織としてイノベーションを継続的に創出し続けるために、当社に適したイノベーションマネジメントシステムを構築・展開し、フィージビリティスタディを迅速に進めることで、新規事業への挑戦を続けています。

●研究開発組織

2024年度の主要な取り組み

①新事業テーマ・プロジェクト創出

「環境・社会価値を有する新商品」の創出を進めます。環境価値に関しては、3R(リデュース、リユース、リサイクル)、バイオマス原料へのシフトに注力、社会価値に関しては創エネ、蓄電といった領域での新テーマの発掘に注力します。

②テーマ企画・推進できる人材の育成

社内外の連携を促進し、新たなテーマを創出する機会を増やします。具体的にはこれまでも実施してきました「夢のある商品を発案者自らが企画・実行し、新事業の立ち上げを目指す」新商品開発プログラム(SBinno)、全社開発陣が一堂に会して議論する技術討論会・技術交流会、当社グループを支えている技術を学ぶ勉強会の実施、社外(アカデミア、企業)との技術交流会の実施などによる研究開発人材のスキル向上と研究所の活性化を図ります。

③既存事業拡大サポート

既存の事業分野で応用研究所が困っていることがあれば積極的にサポートしていきます。具体的には、欧米に技術駐在員を配置することによるワールドワイドでの迅速な新規技術・新規プロセス調査、ナノテラスなどの高度分析技術開発による差別化技術の取得、応用研究所と子会社である分析会社・住ベリサーチ株式会社との連携による問題解決などにより、中期ならびに2030年度の売上・利益目標達成に貢献します。

知的財産

事業収益向上に資する、戦略的な知財活動を推進

当社グループの知的財産(以下、知財)活動は、事業戦略、研究開発戦略に沿った知財戦略を推進し、事業競争力の向上に貢献することを目指しています。それを達成するための中期的な目標として、知財(権)の活用により、事業競争力の向上に貢献することを掲げています。 研究開発のグローバル化に対応するため、海外関係会社の知財関連規定の整備(職務発明規定、秘密情報管理規定)や発明が生まれた際の取り扱いルールなどの取り決めを、各関係会社と進めています。知財活動に関する基本方針は右記の6つですが、今後はこれまでの活動をベースにしながら、事業収益向上に貢献する戦略的な知財活動を推進していきます。
特に新中期経営計画の期間では、①ICT、モビリティ、ヘルスケアの戦略3領域に対する戦略的出願、②環境課題に対する戦略的出願、③インドでの事業を担保するための知財権取得、④IPランドスケープの実践により事業競争力向上に資する新テーマの提案といった課題に集中的に取り組んでいきます。
先行きが不透明な経営環境にあっては、環境変化への企業の対応力が問われます。知財は当社グループにとって、革新的な技術や新製品と結び付いており、その対応力の源泉となるものです。今後も戦略的な知財活動を通して、知見を蓄積・充実させ、事業機会をいち早く捉える契機としたい考えです。

知財活動に関する基本方針

  • ❶ 各事業部門の主要製品に対する知財戦略の立案と実行により、事業競争力を強化する。
  • ❷ 各研究所の主要テーマに対する知財戦略の立案と実行により、知財競争力を強化する。
  • ❸ 知財リスクへの対応を明確にし、事業リスクを低減する。
  • ❹ 事業シナリオ、研究シナリオを支援する予防法務の継続に加え、提案型の予防法務を実施する。
  • ❺ 住友ベークライトグループ全体(特に海外関係会社)の知財管理体制を維持・管理する。
  • ❻ IPランドスケープの実践により、事業競争力の向上に貢献する。

SDGs貢献製品・貢献技術に関連する特許申請数

2023年度の出願のうち、SDGs貢献製品・貢献技術に関連する出願は全体の49%でした。

国内・海外特許の公開件数

●国内特許の公開件数

●国内特許の公開件数

●海外特許の公開件数

●海外特許の公開件数

●事業部門別の国内保有特許件数と比率(2024年3月末現在)

●事業部門別の国内保有特許件数と比率(2024年3月末現在)

●事業部門別の海外保有特許件数と比率(2024年3月末現在)

●事業部門別の海外保有特許件数と比率(2024年3月末現在)

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