Label-Free Liquid Chromatography-Mass Spectrometry Quantitation
of Relative N- and O-Glycan Concentrations in Human Milk in Japan
Toshiyuki Yamaguchi, Hirofumi Fukudome, Junichi Higuchi, Tomoki Takahashi, Yuta Tsujimori, Hiroshi M. Ueno,
Yasuhiro Toba and Fumihiko Sakai, Int. J. Mol. Sci. 25, 1772 (2024)
https://doi.org/10.3390/ijms25031772
Copyright: © 2024 by the authors. Licensee MDPI, Basel, Switzerland.
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ヒト母乳中糖タンパク質の大規模糖鎖解析
背景
ヒトの母乳には糖鎖が豊富に含まれており、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)と糖タンパク質糖鎖(N型糖鎖、O型糖鎖)に大別されます。HMOの組成と濃度はフコシルトランスフェラーゼ2(FUT2)の遺伝子型に基づく分泌状態(分泌型/非分泌型)によって個人差があることが知られていますが、糖タンパク質糖鎖のプロファイルはその分析の困難さから、これまで大規模解析は行われていませんでした。
本研究の成果
ラベルフリーLC-MS分析法を用いて、ヒト母乳中のN型およびO型糖鎖の組成を調べました。200検体の日本人ドナーの母乳(産後1-2ヶ月)中のN型糖鎖16種類、O型糖鎖12種類をLC-MSで相対定量し、同時に11種類のHMOの濃度をHPAE-PAD法を用いて定量しました。定量データのクラスター解析から、O型糖鎖およびいくつかのHMOはフコースの有無によって分類される一方で、N型糖鎖はそれらとは異なるグループに分類されることが明らかになりました。コースを持つO型糖鎖およびHMOは、非分泌型の母乳よりも分泌型の母乳に多く含まれていました。このように、ドナーの分泌型の状態は母乳中のHMOとO型糖鎖の組成と濃度に影響を及ぼしましたが、N型糖鎖には影響を及ぼさないことが明らかとなりました。 EZGlyco® O-Glycan Prep Kit を用いたO型糖鎖分析O型糖鎖分析サンプル調製には住友ベークライト製 EZGlyco® O-Glycan Prep Kit を使用しました。標品のフェツイン溶液(5 μL)またはヒト母乳(5 μL)をキット同梱の Glycan Release Reagent(7.5 μL)と混合し、50°C で20分間インキュベートしました。その後、450 nmol/L マルトヘキサオース溶液(107.5 μL)を加え、脱塩カラム Vivaspin 500を用いて15,000×gで10分間遠心しタンパク質を除去し、回収した糖鎖溶液をアセトニトリルで2倍希釈し、LC-MS測定に供しました。 |
Figure 1. ヒト母乳中の糖タンパク質糖鎖組成の比較(LC-MS) ※詳細は論文をご参照ください |
総括
本研究はヒト母乳中のHMOおよび糖タンパク質糖鎖の組成に関して多数の検体を用いた初めての包括的研究であり、今後、糖鎖組成と乳児の健康・発育に関する研究の進展が期待されます。
関連製品
品番 | 品名 | 入数 | 参考価格(円) |
---|---|---|---|
BS-41601 | EZGlyco® O-Glycan Prep Kit | 10テスト分 | 114,000 |
注記
- 輸送・保存条件:冷蔵(4℃)
- 有効期限:製造日より2年間
- 参考価格(税別)
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