環境方針
SDGs (持続可能な開発目標) が目指す社会の実現に貢献するために、レスポンシブル・ケアに積極的に取り組み、「環境・健康・安全」を確保しその取り組みを継続的に改善・進化させることにより、企業価値の向上を推進します。
- 日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、GXリーグ※) に参画します。また、科学的な根拠に基づき、国際的な目標に整合するグループ全体での目標を設定し、その実現のために「省エネの徹底によるエネルギー効率の向上」と「再生可能エネルギーの導入拡大」の両輪での活動を国内外のグループ全体で推進します。さらに、自らのCO2排出量削減に加え、グループの事業活動に関わるサプライチェーン全体での排出削減について目標設定し取り組みます。
※) GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む企業群が一体となり、経済社会を変革するために議論したり市場を創造したりする場 - プラスチック資源循環の実現とプラスチック廃棄物問題の解決に向け、使用する資源の最小化と効率化による廃棄物削減に取り組むとともに、リデュース・リユース・リサイクル (3R)+Renewable (持続可能な資源) に関する新しいソリューションの早期社会実装を目指します。
- 化学物質管理システムを強化することにより、製品のライフサイクルにわたる環境と人々の健康・安全の確保に努め、プロダクト・スチュワードシップの継続的改善を推進します。
- 事業活動にともなう環境負荷の低減と化学物質の適正管理により、環境保全(大気・水質・土壌の汚染防止、騒音・振動などの発生抑制)を推進します。
- 生物多様性保全を重要課題のひとつと位置づけ、地域に密着したビオトープ関連活動を中心に保全活動を推進します。 また、生物多様性保全の重要性を広く社会に伝えることを目標に、出前授業やビオトープを通じた地域社会との対話も継続して進めていきます。
- 限られた大切な水資源の重要性を認識し、適切な管理と効率的な利用により使用量を削減し、持続可能な水資源の利用を推進します。
適用範囲:住友ベークライトグループの全事業所
環境マネジメント体制
当社グループは、住友の事業精神を尊重し、経営理念を示した「基本方針」に基づき、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会およびその下部委員会からなる体制で、社会的課題を解決し持続的な成長と価値創造を実現することを目指しています。
環境マネジメントに関しては、当社グループの『レスポンシブル・ケア活動方針』に基づき、自主的に環境安全対策の実行、改善のためのレスポンシブル・ケア活動を進めています。
また、昨今において不可欠となった、カーボンニュートラルへの対応のため、カーボンニュートラル(以下:CN)推進委員会を組織し、CNの取り組みを当社グループ全体で強化・推進することを目的に、下部組織として「ライフサイクル部会」と「CN技術検討部会」も設置し、CN達成に向けそれぞれでの活動を推進しています。
カーボンニュートラル推進委員会の活動
政府の2050年カーボンニュートラル宣言および2030年目標の提示から、当社グループは中長期的な目標として計画を見直していましたが、SBTi認定取得を目指すため、次のように新たに目標を設定しました。
・2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」
・2030目標「GHG排出量48%以上削減 (2021年度比)」
カーボンニュートラル推進委員会では、毎年度末に環境中長期目標に対する活動進捗を総括し、次年度目標を決定し上位組織であるサステナビリティ推進委員会の承認のもとで活動しています。目標達成のため委員会内に2つの部会を設け、環境負荷の低減に向けて取り組んでいます。
ライフサイクル部会では、研究段階から科学的、定量的、客観的に評価をする活動を通じ、環境負荷を最小化する生産方式の確立を目指しています。
カーボンニュートラル実現に向けたグローバルな動きの中で、商品を原材料から使用、そして廃棄に至るまでの長期間にわたる評価を行うLCA (ライフ・サイクル・アセスメント) の観点が欠かせないものとなっており、顧客、サプライヤーとの対話の中で「LCA」という言葉が一般化してきています。
このような状況を踏まえ、LCAの社会背景、LCA手法の基礎、住友ベークライトグループの取り組みなど、基本的な知識を身に付けるため、2023年度は本社所管社員を対象に、初めてe-ラーニング「LCA基礎」を行い、1,725名が受講しました。
全研究開発部門で実施すべきテーマを決めて、原材料の採取から最終的な廃棄 (Cradle to Grave) までのライフサイクルアセスメント (以下: LCA)を意識して取り組んでいます。2023年度はLCAを理解し製品のカーボンフットプリント (CFP) を計算できる有資格研究開発者を「全研究者の25%以上を維持する」という目標に取り組み、LCA導入コース、LCAトレーニングコース、LCA実践コース (LCAにかかわるすべての教育・個別指導) をオンライン形式で行い、2023年度実績32%と目標を維持しています。なお、2023年度からは有資格者の中から各所で指導係を選び、各所のLCA取り組みのレベルアップを行っています。2024年度も教育機会の充実を継続し、有資格研究開発者25%維持に努めます。
また、2020年10月の日本政府による温室効果ガス排出のネットゼロ宣言以降、顧客からのLCAにかかわる問い合わせが急増していることを踏まえ、2024年度末までに当社グループの全製品について原材料の採取から工場出荷 (Cradle to Gate)までのLCAに関する情報をスピーディーに提供できるしくみを確立する計画です。国内の取り組みとしては2023年度末実績93% (計画92%) となりました。2024年度には海外工場も含め取り組みを進めます。
CN技術検討部会では、省エネルギーの取り組みとして、国内では各所の自主推進などにより省エネルギーアイデアを継続的に抽出・実現するしくみを根付かせる活動を行っています。
2023年度は2021年度比で主に都市ガスと電力使用量の削減により、トータルで原油換算2,951kL (114,369GJ)、CO2換算で5,696t-CO2の削減を達成しました。海外では国内の活動を準用するとともに、活動手法・事例の横展開推進を継続しています。また、前記に示す2050年目標であるCNへの推進の一環として、国内事業所の購入電力について、主要事業所すべて再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを2022年1月より実施、今後も契約を継続していきます。また、海外グループ会社でも再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを進めています。
2023年度は、CN推進委員会の目的に沿い、CN技術検討部会として直近の2030年目標に向けた計画を立案し取り組みます。また、省エネルギーについてはこれまでと同様に、省エネルギー目標を掲げ、事業所単位削減計画の達成も目指した取り組みを継続します。特に、国内事業所間で省エネルギー事例や技術情報を共有し、全社的に省エネルギー技術のレベルアップを図るしくみづくりや、国内マザー事業所と全社省エネルギー事務局が連携して系列事業所を技術支援する省エネルギー活動に取り組みます。
住友ベークライトグループの環境ビジョン2050 (ネットゼロ)
当社グループが事業を行うためには、地球環境から得られる資源やエネルギーが欠かせません。一方、事業活動を通じて廃棄物や大気への排出、排水などが必ず発生します。このため、環境関連法規を順守し、地球環境に与える負荷を極小化しながら事業活動を行うとともに、製品・サービスを通じて社会全体の環境負荷を低減する取り組みが重要であると考えています。
当社グループでは、政府の2050年カーボンニュートラル宣言 (2020年)、およびそれに続く2030年GHG46%以上削減 (2013年度比) 目標の提示に合わせて、2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」、2030目標「CO2排出量46%以上削減 (2013年度比)」を2021年度に設定し取り組んできましたが、2023年度にはCO2排出量削減実績が48%と目標を前倒しで達成することができました。SBTi認定取得(1.5℃目標相当)を目指すため、2024年2月にSBTiへのコミットメントを行い、次のように目標を見直しました。
・2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」
・2030目標 GHG排出量
「スコープ1+2: 48%以上削減 (2021年度比)」
「スコープ3: 25%以上削減 (2021年度比)」
GHG排出量”ゼロ”挑戦
- ※1Material Flow Cost Accounting(マテリアルフローコスト会計)の略で、環境負荷低減とコスト低減の両立を同時に追求することを目的とした環境管理会計の手法です。当社グループでは分析手法として活用しています。
気候変動プログラムへの取り組み・TCFDの取り組み・GXリーグへの参画
CDP※1(本部: ロンドン)は、2000年に世界の機関投資家が連携して設立した国際NGOです。世界の主要企業や自治体に対して「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト」などの質問票を送付し、気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトを行っています。
CDP2023の調査では、運用資産総額136兆米ドルに達する740超の機関投資家を代表して調査が行われ、23,000社以上の企業が、CDPを通じて環境データを開示しています。
日本においては、2022年からは、気候変動に対する開示要請の対象企業を、東京証券取引所のプライム市場上場企業全社 (1,841社) に拡大しています。
当社は、2023年度のCDPの回答要請に対応し、2024年2月、気候変動「A-」、水セキュリティ「B」評価を受けました。2024年度も、気候変動および水セキュリティへの回答要請を受けており、回答を行いました。
また、2021年2月に賛同を表明した、TCFDの取り組みについては、【TCFD提言に基づく情報開示(気候変動対応)】で紹介しています。
新たな取り組みとしては、2022年度経済産業省が公表した「GXリーグ※2基本構想」への賛同の表明に続き、2023年5月に参画企業となった「GXリーグ」については、住友ベークライト国内グループにおける目標値を設定し取り組みを進めています。
(https://dashboard.gx-league.go.jp/company/9010701005073/)
当社グループは今後も、気候変動にかかわるリスクおよび機会に関する積極的な情報開示を行い、ステークホルダーの皆さまへの説明責任を果たしていきます。
環境負荷低減、省資源・省エネルギー化、化学物質管理、環境に貢献する製品の開発を行い気候変動への対応に貢献しつつ、今後も環境情報の開示を進めます。
- ※1 CDP:以前の「The Carbon Disclosure Project」。現在は「CDP」が正式名称。
- ※2 GXリーグ:2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群を官・学とともに協働する場。
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- 2024/10/01 サステナビリティ 国連グローバル・コンパクトへの署名について
- 2024/09/30 サステナビリティ 住友ベークライト統合報告書2024(和文)を発行しました