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生体模倣システム(MPS)関係論文紹介/June 2024

A Kinetic Pump Integrated Microfluidic Plate (KIM-Plate) with High Usability for Cell Culture-Based Multiorgan Microphysiological Systems

Shinha, K.; Nihei, W.; Nakamura, H.; Goto, T.; Kawanishi, T.; Ishida, N.; Yamazaki, N.; Imakura, Y.; Mima, S.; Inamura, K.;
Arakawa, H.; Nishikawa, M.; Kato, Y.; Sakai, Y. and Kimura H.
Micromachines 2021, 12, 1007. https://doi.org/10.3390/mi12091007

Copyright: © 2021 by the authors. Licensee MDPI, Basel, Switzerland.
This article is an open access article distributed under the terms and conditions of the Creative Commons Attribution (CC BY) license (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).

動物実験代替法としてのMPS(生体模倣システム)の開発と応用
~高いユーザービリティを実現した新しいデバイスのご紹介~

背景

創薬において動物実験は、薬剤の安全性や効果を評価するための重要な手法の一つですが、動物実験のみでヒトにおける薬剤への反応を評価することは、ヒトと動物の生物学的・生理学的な違いがあるため、動物実験のみで得られた結果が必ずしもヒトに当てはまるわけではなく限界があります。また、動物実験には倫理的な問題があるため、動物実験を最小限に抑え、より正確な結果を得ることができる動物実験代替法が求められており、その代替法として、生体模倣システム(Microphysiological systems、MPS)が注目されています。

本研究の成果

本研究で開発されたデバイスは従来の配管によるポンプ駆動システムを使用せず、スターラーバーの回転によるウェル間の送液を可能にしました。この24ウェルプレートをベースとしたプレートデザインはANSI/SLAS(旧SBS)マイクロプレートの基準を満たしていて、普段の単培養から簡単に連結培養が行えるようになりました。1プレートで最大6系統の評価ができ、スループット性も改善されました。肝細胞と小腸細胞との共培養実験では、小腸のバリア機能を示すTEER値と肝細胞の代謝に関連する遺伝子発現レベルが増加し、共培養効果が確認できました

Fig.1

Fig.4

詳細は論文をご参照ください

住友ベークライトにおけるMPSの取り組み

当社は、AMED再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業に参加し、プラスチックの表面処理技術や精密加工技術を活かしてMPSデバイスの開発に取り組んできました。2022年からの新たな事業では、本論文の著者たちとこの革新的な多臓器連結プラットフォームの開発を行っています。 臓器間相互作用を身近に研究できるツールとして創薬研究のユニバーサルプラットフォームとなることを期待しております。