SPECIAL INTERVIEW社外取締役インタビュー

社外取締役松田 和雄
社外取締役永島 惠津子
社外取締役若林 宏之

新しい価値創造を実現し、
未来に夢と活力をつなぐ

それぞれの専門分野とさまざまな知見を有する住友ベークライトの3名の社外取締役に、新中期経営計画を踏まえた「未来に夢を提供する会社」というビジョンの実現に向けた、今後の期待や課題などについてインタビューをしました。

社外取締役 松田 和雄
社外取締役
松田 和雄
1971年4月
株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)入行
2000年4月
富士証券株式会社(現みずほ証券株式会社)専務執行役員
2000年10月
みずほ証券株式会社常務執行役員
2009年6月
日本精工株式会社取締役代表執行役専務
2011年6月
日本精工株式会社特別顧問
NSKワーナー株式会社常勤監査役
大同メタル工業株式会社監査役(現任)
2015年6月
当社監査役
2016年6月
当社取締役(現任)
社外取締役 永島 惠津子
社外取締役
永島 惠津子
1978年10月
等松・青木監査法人(現有限責任監査法人トーマツ)入所
1980年7月
公認会計士附柴会計事務所入所
1982年10月
公認会計士登録
1988年6月
公認会計士永島会計事務所開設 代表(現任)
2008年4月
監査法人ベリタス代表社員
2016年6月
ブルドックソース株式会社取締役(監査等委員)(現任)
2019年6月
当社監査役
2021年6月
当社取締役(現任)
社外取締役 若林 宏之
社外取締役
若林 宏之
1979年4月
株式会社デンソー入社
2006年6月
株式会社デンソー常務役員
2013年6月
株式会社デンソー専務取締役
2014年6月
株式会社デンソー取締役・専務役員
2015年6月
株式会社デンソー専務役員
2016年6月
株式会社デンソー取締役・専務役員
2017年4月
株式会社デンソー代表取締役副社長
2024年6月
当社取締役(現任)

信頼を得て着実な成長軌道へ

若林取締役は、2024年6月に新たに社外取締役に就任されましたが、住友ベークライトにどのようなイメージをお持ちでしょうか。住友ベークライトの経営に関与するに当たっての抱負や期待についてもお聞かせください。

若林:

住友ベークライトには、自社の歴史を大切にしながらも、新たな方向にも真面目に挑戦している会社というイメージを持っています。現在の住友ベークライトは、さまざまな領域に進出しており、それぞれの分野での成長とその組み合わせによる成長の可能性を楽しみにしています。私はその成長のお手伝いをしていきたいと思っています。

再任されたお二人は、前中期経営計画の最終年度において、社外取締役としてどのような思いで住友ベークライトの経営に関与されていましたか。前中期経営計画の評価などを踏まえてお聞かせください。

松田:

過去の中期経営計画では目標が未達となることもありましたので、より現実的に単年度の目標の着実な積み上げを図ることや、売上を追求するだけでなく事業利益率にこだわることなどの考え方を共有いたしました。住友ベークライト独自の経営指標であるSB-ROICなどの導入も実現された結果、前中期経営計画は上方修正されるなど、着実にマーケットの信頼を得ることができたと思います。この間に時価総額が大幅に増加したことは、その証左と言えるのではないでしょうか。

永島:

前中期経営計画の最終年度である2023年度の事業利益は、過去最高の275億円を達成しています。事業によって多少の差はありますが、原料価格上昇に対応する製品価格改定をタイムリーにおこない、成長領域への積極的な投資を実施するなど、計画に沿って着実に経営を進めた結果だと評価しています。高機能プラスチック事業については、市場成熟により成長の鈍化がみられ、ほかの事業に比して事業利益率やSB-ROICが低くなっていますが、今後は熱硬化性樹脂のパイオニアとして培ってきた技術力を生かして、収益性の高い分野にポートフォリオを変革していくことを期待しています。

社外取締役 永島 惠津子

ありたい姿を見据えた成長戦略を描く

新中期経営計画について、その方針や内容に対する期待も含めて、率直な感想をお聞かせください。

永島:

新中期経営計画は、「2030年ありたい姿」から、バックキャストで目標数値を設定している点が目を引きます。売上収益ではなく事業利益に目標をシフトさせており、経営の目指すべき方向が明確になっています。また、経営の重要課題を明確にした上で、それに沿った具体的な戦略を立てており、非常にわかりやすくなっていると思います。目標数値は若干保守的とも感じますが、不採算部門の整理や高付加価値分野への転換など、大きな変革を実行しながらの目標達成は簡単なものではないでしょう。現在、上場企業の多くが中期経営計画を作成していますが、住友ベークライトのように前中期経営計画の実績との差異を分析・評価し、公表している企業はそれほど多くありません。今後の中期経営計画についても予算と実績の管理・分析を行い、かつ外部のステークホルダーに公表することは重要だと考えます。

松田:

新中期経営計画の策定に際して、まず「2030年ありたい姿」からバックキャストで考えるアプローチが導入されました。そこに、私なりの思いと、企業価値向上へのキーワード、非財務資本への積極的な取り組みとその開示をアドバイスさせていただいたところ、見事に住友ベークライトらしくわかりやすい表現でまとめられました。加えて、新中期経営計画は売上収益ではなく、事業利益を大きな目標として取り上げたことも評価されるべきです。

若林:

まず事業利益を基準に据えた経営が明確化されていることは、わかりやすくて良いと思います。取り組みの領域は半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品とバランスが取れており、それぞれの領域のキーとなる製品や技術において、SDGsや環境をしっかりと意識している点は今後の強みになるでしょう。各領域の取り組みが進むにつれて、住友ベークライトにはオピニオンリーダーとしての役割も期待されると思います。

新中期経営計画では、経営の重要課題の一つとして、「コーポレート・ガバナンス」を掲げています。特に取締役会の実効性向上に向けて、新中期経営計画の期間を通じて、取り組むべき課題や展望についてお聞かせください。

松田:

築いてきた事業基盤やマーケットの信頼は、ガバナンスの緩みや綻びで一気に瓦解します。近年の自動車業界における各種の問題はその象徴的出来事であり、これを「他山の石」と捉えるべきです。会社を取り巻く諸課題は各事業の責任者が日々の業務執行の段階で把握しており、経営会議をはじめとする社内の会議体を通じて、その問題点や存在を共有しているでしょう。その中でも「そういえば、あの件は今どうなっているのか」という疑問が存在するはずです。この執行部隊における「あの件」こそが、場合によっては社外役員とも議論されるべきテーマになり得るため、少なくとも社外役員が出席する社外役員会や取締役会の議題選定プロセスでは、社外取締役の代表者が事前に議題の相談や調整をするアジェンダセッティングの場があっても良いかと考えます。

永島:

社外取締役は、社内の取締役に比べて、事案の背景や議論の過程に関する情報が格段に不足しています。そのため、事前に十分な説明を受け、疑問点があれば積極的に質問し解明するよう努めています。また、住友ベークライトでは、将来の決議事項となる事案を検討事項として事前に共有するほか、決議された案件のフォローアップも行っています。これらの取り組みをさらに充実させていくことで、取締役会の実効性向上につながっていくと思います。現在は各取締役の席が決まっていますが、自由な席で円形テーブルにすると意見が出やすいという話を聞いたことがあります。一度試してみると、取締役会の議論がより活性化するかもしれませんね。

社外取締役 松田 和雄

価値創造で未来に夢を

新中期経営計画の目標達成に向けて、ご自身の専門分野やご見識をどのように生かせるか、貢献への思いをお聞かせください。

永島:

目標達成には、設備投資やM&Aが不可欠であり、私はこれらの決議に際しては、その決定が会社の財務諸表にどのような影響を与えるかを念頭に置いて評価しています。短期的な影響だけではなく、中長期的に企業価値の向上に資するかも判断基準としています。また、新中期経営計画の着実な実行を足元で支えるのは、グループ全体の内部統制であると考えます。取締役会でグループ各社の内部統制上の弱点を示唆する事案があった場合には、その背景にある原因を分析し、グループ全体の内部統制の改善につながるよう、積極的に発言していきたいと思います。

松田:

事業の継続性の担保とさらなる企業価値向上のためには、マーケットの中でも、特に機関投資家や個人投資家との対話が欠かせません。また、非財務資本の強化に向けて、経営の重要課題の施策を一つずつ実現し、そのプロセスを適宜マーケットにフィードバックする取り組みも大切です。私からはこうした対話や開示の手法について、アドバイスができればと考えています。

若林:

私の前職は自動車部品サプライヤーでしたが、在職中は自動車メーカーの方々に満足していただくことを最優先で考えていました。しかし、今反省も含めて重要だと思っているのは、最終顧客の本当の目的は何かを理解して行動できていたかということです。私の過去の経験は、材料技術、品質管理、パワートレイン、情報安全といった領域で、専門分野と言えるほどの知識はありませんが、住友ベークライトの各領域で、常に最終顧客の目的や困りごとは何かを念頭に、目標達成に協力していきたいと思います。

新中期経営計画では、ビジョンとして「お客様との価値創造を通じて、『未来に夢を提供する会社』」を掲げています。その実現に必要なことや、ご自身が住友ベークライトとともに達成したい夢があればお聞かせください。

若林:

「お客様との価値創造」をするには、お客さまの真の目的を理解できている必要があります。仮説を持ってお客さまにアプローチし、その実現可能性を検証していく姿勢が重要です。住友ベークライトのさまざまな領域でこうした取り組みが進めば、お客さまからは「住友ベークライトに相談すると実現できる」と言っていただけるようになりますし、そういう会社を目指してほしいと思います。

松田:

住友ベークライトが前中期経営計画から継続して掲げる「未来に夢を提供する会社」の実現には、組織を超えたビジョンの共有とマーケットへのプロセスの開示が必要です。社外取締役は、そのお手伝いをさせていただく調味料になれればと考えています。甘くなく、辛くもなく、そしてお客さまが満足される味付けを、社外取締役一同で実現できればこれ以上の喜びはありません。

永島:

住友ベークライトは、「事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献すること」を、経営理念として掲げています。単に事業を拡大し目標利益を達成するだけでなく、新しい技術の開発や顧客のニーズに寄り添う姿勢を推進していくことが、住友ベークライトのビジョンを達成する力になるのではないでしょうか。未来を担う若者たちに、住友ベークライトを魅力的だと感じてもらえるような施策の実行を社外取締役として後押ししていきたいと考えています。

社外取締役 若林 宏之

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