2024年10月11日
住友ベークライト株式会社 (本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤原一彦) は、新たに高絶縁高耐熱成形材料:スミコン® AM-3800を開発し、サンプルワークを開始いたしますのでお知らせします。
この成形材料は、耐熱性と電気絶縁性に優れたジアリルフタレート樹脂を使用し、比較トラッキング指数 (CTI) 800V以上の高絶縁性と、ガラス転移温度 (Tg) 235℃に達する耐熱性を特長としています。これにより、高電圧化が進む電気自動車 (EV) や再生可能エネルギー分野において、部品の安全性と信頼性の向上に貢献します。
背景
近年、カーボンニュートラルの取り組みが進む中で、電気自動車 (EV) や風力・太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電力の需要が急速に拡大しています。これらの分野では、高電圧化が進んでいますが、高電圧化によって電気部品の絶縁破壊、短絡、誤作動などの不具合が発生するリスクが高まります。さらに、高電圧により熱量も増加するため、電気部品や絶縁材料にはこれまでよりも高い絶縁性と耐熱性が求められています。従来、熱可塑性樹脂のPPSやPPAなどのスーパーエンプラが使用されていましたが、より高い耐熱性と絶縁性を兼ね備えた熱硬化性樹脂が注目されています。
高絶縁高耐熱成形材料 スミコン® AM-3800について
このような背景から、当社では電気絶縁性・耐熱性・耐湿性に優れる熱硬化性樹脂であるジアリルフタレート樹脂を用いた成形材料 (スミコン® AMシリーズ) に新品番AM-3800をラインナップしました。同製品は、CTI800V (耐トラッキング性、当社社内法*)以上の高絶縁性の特長があり、高電圧部品への適用が期待できます。また、Tg (ガラス転移温度) が235℃に達し、高い耐熱性も有しています。このため、200℃程度の高温雰囲気下まで室温同等の絶縁破壊強さを保持します。高い絶縁性を高温雰囲気下でも維持するため、電気部品の安全性と信頼性の向上が期待できます。さらに、射出成形機による薄肉成形にも対応可能なことから、高CTIと薄肉・複雑形状成形性を生かし、部品の小型化や高放熱化など部品の設計自由度も向上します。 *当社社内法:耐トラッキング性試験装置の試験電極の向きを反転させて試験 |
スミコン® AM-3800 |
今後も当社の材料設計技術によりさらなる特長を材料に付与していくとともに、ジアリルフタレート樹脂については、樹脂メーカーである株式会社大阪ソーダと連携し、より多くの機能を樹脂複合材料に付与できるように開発を進めてまいります。
参考
今後について
高機能プラスチック事業の強化領域である電動車、半導体関連における高付加価値製品へのポートフォリオ変革に向け、高絶縁高耐熱成形材料 スミコン® AM-3800は、2024年12月から量産機製造品のサンプルワークを開始し、新規需要の開拓を進めるとともに、具体的なお客様のニーズに合致する機能を付与した材料を開発していきます。 |
スミコン® AM-3800 |
展示会出展情報
2024年10月15日~18日 幕張メッセで開催されるCEATEC 2024に出展します。[ 出展内容はこちらから→ ]
関連情報
本件に関するお問い合わせ
住友ベークライト株式会社 マテリアルズソリューション営業本部
TEL: 03-5462-4101