取引先とのかかわり
当社工場ならびに国内外関係会社の所管原材料、燃料及び建屋設備機械の購入全般に関しては、調達本部が総括、調整を行っています。
基本的な考え方
業務遂行にあたっては、国内外の法令、規則や社会規範の遵守に努めるとともに、取引先に対しても同様のお願いをしています。具体的には、原則として購入の取引先とは取引基本契約書の締結をお願いしており、その中で、人権の尊重、安全・衛生の確保、環境の保全等を双方が遵守することを取り決めています。
取引先との関係
当社では、購入の新規取引先の選定は、社内規則で基準を定めており、すべての基準を公平、公正に判断したうえで定められた手続きにより取引開始を決定しています。さらに、取引先とは常に対等かつ相互信頼関係を構築し、取引が双方に利益をもたらすことが重要と考えています。
コンプライアンスへの対応
取引開始にあたっては、「下請代金支払遅延等防止法」に該当するかどうかの確認も行い、該当する場合は同法ならびに社内ルールに従って対応し、また、既存の取引が同法に該当することが判明した場合は、速やかに適法に対応しています。
原材料が国内外の化学物質規制に適合しているかについては、新規原料採用の際に確認する社内ルールがあり、適合しなければ採用しません。適合することが確認できれば、その項目を含めた購入仕様書を作成します。購入仕様書がなければ原材料として登録できない社内規則になっていますので、使用する原材料は化学物質規制に適合することになります。なお、新規の規制に対しては、社内関係部署と連携して調査を実施しています。
安定調達への取り組み
調達本部では、原材料製造者の監査を実施しています。多くの場合、生産・品質部門が行う品質監査と同時に実施しますが、監査項目、判定基準は調達本部独自のもので、供給安定性の調査を中心としています。会社全体、該当事業、原料調達、設備、立地、製造現場、作業者、当社との関係等の状況を調査し、総合的に判定します。改善が必要と判断した場合は、文書で改善項目を提示し期限を定めてご回答いただくようお願いしています。
調達方針
住友ベークライトグループの調達部門は、事業における社会的責任を果たすため、原材料・設備の調達に際し、サプライチェーンのお取引先の皆様のご協力を得て、以下の方針に基づく社会に配慮した調達活動を行います。
公正な商取引について
- 取引先の選定は、公平・公正に行います。
- 取引先とは対等で相互信頼関係を築くとともに維持し、相互の利益となる取引を目指します。
安定調達について
- 材料・設備の調達に当たっては次の項目を重視します。
(1) | 適正な品質を維持し技術の向上に努めていること |
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(2) | 納期を遵守すること |
(3) | 市場競争力のある価格であること |
(4) | 供給の安定性が確保されていること |
- 事業継続計画(BCP-Business Continuity Plan)については、原材料の調達リスクの事前低減、発生した場合の対応を別途規則で制定します。
サステナビリティ調達について
- 人権・労働、安全衛生、倫理、環境などの項目に関し、現地の法規制の遵守に加え国際的な基準も尊重した調達活動を行います。同時にお取引先にも同様の対応をお願いしていきます。
主なサステナビリティ調達項目
(1) | 人権・労働・安全衛生 |
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(2) | 倫理・情報セキュリティ |
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(3) | 環境 |
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- 環境負荷低減の取り組みの一環として、「グリーン調達ガイドライン」を定め、グリーン調達を実施します。
情報の維持管理について
- 取引に必要な情報は可能な範囲で積極的に開示します。
- お取引先から入手した購入に関する情報は、厳格に管理し機密保持に努めます。
知的財産権の保護について
- 知的財産は重要な経営資産であるため、自社の権利を保護するとともに他社の知的財産を尊重します。
RBA行動規範について
- RBA(責任ある企業同盟)行動規範は 、電子機器業界のサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、そして労働者に対する敬意と尊厳を持って処遇すること、さらに環境への責任とともに、業務を倫理的に行うための基準で、電子機器業界のデファクトスタンダードです。 住友ベークライトグループはRBAのメンバー企業ではありませんが、多くの顧客が電子産業に属しています。このため上記で規定した独自の方針に加え、RBA行動規範に沿った調達活動に努めます。
- サプライチェーンのお取引先の皆様にもRBA行動規範に沿った事業活動をお願いしていきます。
サステナビリティ調達アンケート調査
- 2023年度の取り組みとして、セグメント毎の原材料購入実績上位90%を占める主要サプライヤー114社に対しアンケート調査を実施し、107社より回答を入手しました(回答率94%)。
- 調査票は JEITA(電子情報技術産業協会)が策定した「責任ある企業行動ガイドライン/自己評価シート詳細版」を用い、「1.法令遵守・国際規範の尊重、2.人権・労働、3.安全衛生、4.環境、5.公正取引・倫理、6.品質・安全性、7.情報セキュリティ、8.事業継続計画、9.管理体制の構築」の9分野にて各項目100点満点での自己評価をつけてもらう形で実施しました。
- 調査の結果、一定基準を下回る項目がある対象16社に対しては当社より改善要望を出し、より適切な調達が出来る体制を整えていきます。
調査結果
項目 | 平均点 | 項目 | 平均点 |
---|---|---|---|
1.法令遵守・国際規範の尊重 | 92 | 6.品質・安全性 | 99 |
2.人権・労働 | 86 | 7.情報セキュリティ | 78 |
3.安全衛生 | 87 | 8.事業継続計画 | 76 |
4.環境 | 96 | 9.管理体制の構築 | 82 |
5.公正取引・倫理 | 91 | 全項目平均 | 88 |
責任ある鉱物調達への対応
責任ある鉱物調達の推進
- コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国等の「紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)」で採掘されるスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの鉱物の使用が、武装勢力への資金供与、強制労働や児童労働を含む人権侵害、環境破壊、マネーロンダリング、汚職、脱税等(OECD Annex Ⅱリスク)の不正行為につながることが懸念されています。
- 当社グループでは、「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(OECD DD ガイダンス)」に基づいた適切な評価(デュー・ディリジェンス)を実施することで、不正行為につながる鉱物を当社グループの製品に使用しないよう取り組んでいます。
住友ベークライトグループ責任ある鉱物調達方針
- 住友ベークライトグループでは、コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国等の「紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)」における「武装勢力への資金供与、強制労働や児童労働を含む人権侵害、環境破壊、マネーロンダリング、汚職、脱税等(OECD Annex Ⅱリスク)」の防止のため、当社グループによるスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの鉱物を含む原材料・部品の使用にあたり、以下に挙げた責任ある鉱物調達を推進します。
・「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(OECD DD ガイダンス)」にしたがって、サプライチェーンを適切に管理します。 ・調達取引先に対し、「責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)」が推進する「責任ある鉱物保証プロセス(RMAP)」 に準拠した製錬/精製所から対象鉱物を調達するよう要請します。 ・CAHRAsから産出または精錬/精製された対象鉱物の全てを使用しないということではなく、CAHRAsから産出または精錬/精製された対象鉱物であってもOECD Annex Ⅱリスクに関わっていない対象鉱物は使用します。 ・サプライチェーンにおいてOECD Annex Ⅱリスクの可能性を発見した場合は調達取引先を通じて是正要請を行い、是正状況に応じて取引停止も含めた検討を行います。 ・調達取引先と当社グループの「調達方針」及び「責任ある鉱物調達方針」を共有し、サプライチェーンを通じて製錬/精製所に関する情報提供を調達取引先にお願いするとともに、CAHRAsにおけるOECD Annex Ⅱリスクの排除、軽減に貢献するよう調達取引先と対話や協働に努めます。
取り組みのフレームワーク
- 当社グループはOECD DD ガイダンスによる「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・ディリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に沿った取り組みを行っています。
【ステップ1 強固な管理システムの構築】 ・当社グループは、「住友ベークライトグループ責任ある鉱物調達方針」を定め、業界標準である手法RMIの発行する紛争鉱物調査テンプレート(CMRT)/拡張鉱物調査テンプレート(EMRT)およびRMAPを利用し、自社製品に含有する対象鉱物のCAHRAsにおけるOECD Annex Ⅱリスクの有無について管理する仕組みを構築しています。 【ステップ2 サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価】 ・当社グループは、定期的に、購入している原材料・部品から調査が必要なものを抽出し、RMIの発行するCMRT/EMRTを利用した精錬所/精製所の調査を行っています。また、調査ではスズ・タンタル・タングステン・金・コバルト、マイカの意図的添加・使用の有無、原産国の確認、製錬所/精製所の特定等(RMAP適合製錬/精製業者リストに掲載されているかどうかの確認も含む)を行っています。 ・CMRT、EMRTともに、回答単位を①会社全体②製品別③指定対象から選択できるように設計されていますが、住友ベークライトグループの製品に使用される部品・材料に含まれる鉱物の製錬業者/精製業者を確実に確認するため、調達取引先に対して、納入製品を特定した回答を要請しています。 ・また、当社グループは、新規原材料採用時にも、上記と同様の調査を実施しています。 【ステップ3 特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施】 ・当社グループは、継続的なリスク軽減を行うため、定期的に、責任ある鉱物調達調査計画を策定し、最新情報のアップデートと再調査を行います。 ・当社グループは、調達取引先がOECD Annex Ⅱリスクの高い製錬/精製所を使用している場合はそのリスク内容を伝達し、改善に向けた適切な対応を調達取引先と協議しながら進めます。また、OECD Annex Ⅱリスクとの関係が明確になった場合は、当該調達取引先と取引停止に向けた検討を行います。 【ステップ4:独立した第三者による精錬/精製業者のデュー・ディリジェンスの監査を実施】 ・当社グループは、調達取引先に対し、RMAP適合製錬/精製業者リストに掲載された精錬/精製所から対象鉱物を調達するよう要請します。なお、RMAP適合製錬/精製業者となるための監査は独立した第三者による監査である必要があります。 【ステップ5:サプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関する年次報告】 ・当社グループの責任ある鉱物調達に関する活動報告を、WEBサイトで公表いたします。
調査結果
- 2023年度 責任ある鉱物調達 調査結果
【スズ・タンタル・タングステン・金(3TG)】 ・当社グループでは、スズ・タンタル・タングステン・金(3TG)を使用・添加した原材料・部品34品番を取り扱う調達取引先16社に対しCMRTを用いた調査を実施しました。CMRT回答率100%、RMAP適合精錬所使用率は100%でした。 スズ タンタル タングステン 金 3TG合計 原材料・部品数 31品番 (該当なし) 2品番 1品番 34品番 調達取引先数 13社 - 2社 1社 16社 CMRT回答率 100% - 100% 100% 100% 精錬/精製所総数 98か所 - 2か所 1か所 101か所 RMAP適合精錬所 98か所 - 2か所 1か所 101か所 RMAP適合精錬所使用率 100% - 100% 100% 100% (注) 調査対象/住友ベークライトグループおよびその子会社(Vaupell Holdings Inc. およびその子会社除く)で調達している原材料・部品 (注) 同一調達取引先・同一原材料で、複数の精錬/精製所を使用する場合があります。 【コバルト・マイカ】 ・当社グループでは、コバルト・マイカを使用・添加した原材料・部品8品番を取り扱う調達取引先8社に対しEMRTを用いた調査を実施しました。EMRT回答率は100%でしたが、法令対応ではないことを理由に精錬/精製所の情報の開示にご協力いただけない調達取引先があること、コバルト・マイカ(特にマイカ)はRMAP適合精錬/精製所の数自体が少ないことなど、当社グループのみでは対応困難な課題があります。 コバルト マイカ 原材料・部品数 4品番 4品番 調達取引先数 4社 4社 EMRT回答率 100% 100% (注) 調査対象/住友ベークライトグループおよびその子会社(Vaupell Holdings Inc. およびその子会社除く)で調達している原材料・部品 (注) 同一調達取引先・同一原材料で、複数の精錬/精製所を使用する場合があります。
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