住友ベークライト株式会社（本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 藤原一彦）は、フェノール樹脂に含まれる残存原料であるフェノール、ホルムアルデヒドなどのVOC（揮発性有機化合物）を0.1%未満まで低減した超低モノマー水溶性フェノール樹脂を販売開始いたしましたのでお知らせします。
2021年に開発を発表した超低モノマー完全水溶性レゾールの技術をベースにさらなる高機能化を進め、多くの特徴的な機能を有した製品群をラインアップしました。本製品群は残存フェノール、ホルムアルデヒドに由来する各種法規制に対しても非該当となることから、これまで法規制によりフェノール樹脂の使用が忌避されていた分野へも熱硬化性の環境対応プラスチックとして提供してまいります。

熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は、非常に高い耐熱性を示し、中でもレゾール型は、主に溶液状で取り扱われます。各種繊維やフィラーなどの基材と高い接着性を示すため、有機繊維、金属、ガラスなどさまざまな基材のバインダーとして使用されてきました。
しかし溶液タイプのレゾール型樹脂を使用するにあたって、有機溶媒系では設備の防爆対策やVOC対策が必要になります。
これに対し比較的環境負荷の小さい水溶液系のフェノール樹脂も使用されていますが、疎水性の高いフェノール樹脂に水溶性を付与するとモノマー（低分子化合物）であるフェノール、ホルムアルデヒドが樹脂水溶液中に多く残存してしまい、これがVOCや臭気として発生する課題がありました。

本製品は、水性化、環境対応が可能な高機能品として、成長市場である半導体関連をはじめ、航空・宇宙産業や電池材料などのエネルギー関連用途へも拡大を図っていきます。すでに海外各拠点で量産化検討が進んでいる案件もあります。将来的にはグローバル市場で年間50億円の販売を狙い、高機能フェノール樹脂として市場を拡大してまいります。

高耐熱性・高密着性・高炭化率・各種溶媒への溶解性・保管安定性等、それぞれの機能に特化したグレードをラインアップしています。

接着剤、塗料、電子材料、半導体、炭素材料、電動車等の樹脂製品のバインダーまたは添加剤。

遊離フェノール、遊離ホルムアルデヒドが0.1%未満では、化学物質排出把握管理促進法（PRTR法）の対象外となり、毒劇物や特定化学物質にも非該当、消防法上も非危険物となる為、保管や取り扱いにおいても設備の自由度の向上、管理工数の大幅な削減が可能です。

テストをしていただいたお客様からは、
「臭気が大幅に低減し、ほとんど臭いを感じない」「炭化率や耐熱性の高い機能を持ちながら、法規制にも該当しない材料は他に見たことがない」等の高いご評価を頂いています。

超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売開始について（PDF 526KB）

住友ベークライト株式会社 マテリアルズソリューション営業本部 ポリマー営業部
TEL: 03-5462-4052