めっき専用材フェノール樹脂成形材料SUMIKON®PM-Plamecシリーズの
開発について

2022年1月18日


住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤原一彦)は、めっきとの密着性に優れたフェノール樹脂成形材料「SUMIKON®PM-Plamecシリーズ」を開発しましたのでお知らせいたします。

開発の背景

近年、世界で温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルが宣言される中、自動車産業は電動化対応を加速しております。その中で、軽量化や製造時の二酸化炭素の排出の削減などの観点から樹脂化のニーズは益々高まっています。一方、電磁波シールド性やガスバリア性など樹脂単体では性能を十分に満たすことが出来ない機能や多様化するニーズに対してマルチマテリアル化技術が推進されています。
当社では熱可塑性樹脂に比べ、耐熱性(熱間強度、剛性、寸法安定性)、耐薬品性、寸法精度、低線膨張係数などの特徴を有し、かつコストとのバランスが良いフェノール樹脂成形材料を取り扱っております。金属めっきとの密着性および信頼性に優れたフェノール樹脂成形材料を開発することで、めっきとのマルチマテリアル化により樹脂単独では持ち得ない機能を付与することが出来るようになり、更なる付加価値を加えることが出来ました。
この技術により、加速する自動車の電動化部品や電気電子部品の金属代替を通して、環境への貢献も目指します。

特徴

自動車部品等に要求される機能性めっきの品質として、各種長期環境下においてめっきにクラックや剥離がないなどの、長期信頼性に関する品質を十分に満足することが必須です。
樹脂めっきではエッチング工程中に成形品表面へアンカーを形成させ、物理的に接合することでめっきとの密着性を確保しますが、今回開発しためっき専用フェノール樹脂成形材料「PM-Plamecシリーズ」は、配合設計技術を駆使してアンカー形成に適した処方設計を実施することで、従来のフェノール樹脂成形材料に比べて約5倍もの初期のめっき密着性を有することができます(図1:めっき界面写真)。
更には金属めっきと線膨張係数を近づけたり、当社が開発した高寸法精度材「SiON®」の処方設計技術を適応し、異方性低減や寸法変化の抑制技術なども盛り込むことで、図2、3に示すように各種環境下においてめっきクラックや剥離が生じない長期信頼性の確保も可能となりました。

めっき界面写真/めっき信頼性(密着性)(四端子)

開発品について

開発したシリーズは表1に示すように、自動車部品に要求される強度・剛性を備える「高強度」タイプ、高寸法精度を追求した「等方性」タイプ、低比重を狙う事での「低コスト」タイプといったバリエーションを備え、お客様のニーズにお応えした材料を提供致します。さらに、より高強度で耐衝撃性の高い長繊維熱硬化性樹脂成形材料にもめっき技術の適用を検討しており、ラインアップとして追加予定です。

フェノール樹脂成形材料「PM-Plamecシリーズ」特性

フェノール樹脂成形品とめっきとのマルチマテリアル化を可能とした本製品は長期信頼性における品質を確保した上で、これまで樹脂代替が困難であった耐電磁波性(図4)や耐ガス透過性(表2)を求められる部品の金属代替用の素材として適用範囲の拡大が期待されます。また、従来の金属部品から20~60%の「軽量化」が可能となる事で、車両航続距離などのエネルギー効率改善を可能とします。 更に、フェノール樹脂の寸法精度や耐熱・高剛性を活かして、加工工数削減やカラーレス化により「低コスト化」に貢献できるものと考えています。

当社はこれまで電磁波シールド性が課題となり樹脂化の適用が難しかった用途に展開を進め、将来的に年間10億円以上の売り上げを見込んでいます。

適用部品想定例

・部品:インバータ筐体/要求特性:電磁波シールド性

耐電磁波性,耐ガス透過性


関連情報


本件に関するお問い合わせ

住友ベークライト株式会社 高機能プラスチック製品事業本部 成形材料・成形品営業部
Tel:03-5462-4101