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今月ご紹介するJA名西郡は徳島県を代表する特産物すだちの営利栽培発祥の地です。徳島県のすだちの生産量は全国の9割以上を占めており、すだちの花は徳島県の県花に指定されています。 P-プラス採用歴は長く、すだちのさわやかな香りと酸味、そして最大の魅力である鮮やかな緑色を保持して、年間を通じて安定して全国に届けるためにP-プラスを採用しつづけていただいています。 |
すだちの営利栽培発祥地として知られる神山町
JA名西郡 神山センターがある神山町は徳島市に隣接し、その約8割が山林という中山間地域。耕作面積が少なく、大量生産が難しいことから、昔から個性的な高付加価値の作物を作る意識が高い地域でもあります。その象徴ともいえるのが、特産品として知られるすだち。
「山間地で冬の気温が低く、雪が降るという厳しい環境の中、先人たちが苦労を重ねながら、寒さに強いすだちの栽培を始めました」というのはJA名西郡神山センターの後藤課長。
営利栽培発祥の地として知られる神山町は、すだち栽培の60年以上の歴史を有し、生産量、品質ともに日本一のすだち産地として認知されるに至っています。
“徳島三大柑橘”と呼ばれる、ゆず、ゆこう、すだち。柑橘の品質評価は酸味と香りのバランスで決まりますが、それぞれに特徴があるといいます。
「ゆずは香りが良く、ゆこうは酸味が少なくまろやか、すだちは、さわやかな香りが特徴です。すだちの旬である9月には、特に皮に香りの油分が多く、きりっとした酸味がさらに際立ちます。焼き魚や漬物はもちろん、ご当地の方々はみそ汁やごはんにも絞り入れ、そのさわやかな香りを楽しんでいます」と神山センターの坂東さん。
すだちの魅力と言える酸味を決める要素は、昼と夜の寒暖差。夜温が低いとその間の呼吸が抑えられて生育がゆっくりになり、不要な養分が使われないため香りと酸味が増すのだといいます。
神山町のすだちが日本中に認知されるようになるまでには、JA名西郡、生産者はもちろん、当時の経済連(現在のJA全農)の協力のもと、全国の各市場にPRし、様々なイベント、販促活動を実施してきたのだといいます。
「東京・目黒のサンマ祭りに参加したり、ビールメーカーとのタイアップで、すだちビールを提供したりと、行政と一体となって取り組んできた結果、すだちといえば神山町というイメージが定着しました」(後藤課長)
また、PR活動と同時に生産体制も整えてきたのだとか。
「“徳島のすだち”を認知してもらうために、県下で周年供給体制をとっています。作型はハウス、露地、貯蔵ものの3つ。4月~9月までは収穫して、そのまま出荷しますが、10月~3月は9月に収穫したものを冷蔵庫に貯蔵し、緑色を保持したうえで出荷します。供給が途切れてしまうと他の柑橘に立場を取られる可能性もあるので、気温の高い地域は施設栽培、私たちのような中山間地では露地ものと貯蔵で一年中、供給が途切れないような体制づくりをしています」(後藤課長)
さらに、JAと生産者との間で情報交換や指導も密に行っているといいます。
「毎年、栽培暦を配布して、この時期に肥料をあげる、この時期に消毒をするなど、主な作業を認識してもらうように働きかけます。
また、JAの指導課では個別に栽培指導や病害対策などの指導を行っています」(坂東さん)
“緑のすだち”の魅力を保持し、多くの方に知ってもらうために
そんなJA名西郡 神山センターがP-プラスを採用したのは平成18年のこと。当時、まだ後藤課長も坂東さんもJAに入所はしていなかったといいますが、あれから14~15年が経過した現在もなお、3~4個入りの小袋すだちにP-プラスを利用しています。主な目的は緑色保持なのだとか。
「結局、神山町のすだちといえば“緑のすだち”というイメージで売り出してきました。どうしても市場経由で各店舗に配られて陳列され、消費者が手に取るまでに時間がかかってしまうので、その緑色保持が難しい。そこで鮮度保持という観点からP-プラスに白羽の矢が立ったと聞いています」(後藤課長)
すだちは、緑の状態のまま、ある程度実が大きくなってきた時点で収穫。そのまま熟して黄色になっていくと、独特の酸味と香りが弱くなってしまうのだとか。他の産地のすだちとの差別化を図る意味でも、“緑のすだち”を維持したい。そして、その魅力を一人でも多くの消費者に届けたい。そんな思いから生まれたのが、P-プラスを活用した小袋入りのすだちだったといいます。
「当時は、1kgの袋に入れて化粧箱で出荷するのが主流でした。しかし、1kg入りでは消費者としても手に取りづらい。それを解決する手段として、消費者へのPRの意味も込めたP-プラスありきで小分け袋という発想が生まれました。一回で使える量で販売することで、広く多くの方々にご愛用いただくことになりました」(後藤課長)
遠隔地出荷、緑色保持という二つの観点からP-プラスの可能性に期待
現在では徳島県の主導で欧州への輸出も始まっているのだと言います。実は2016年のノーベル賞授賞式の晩餐において、すだちを使った料理が提供されたことで欧州のシェフたちの間で見慣れない柑橘が話題になるという出来事があり、欧州での需要は高いのだそうです。とはいえ、EUの厳しい検疫や、指定農園になる必要があるなどの課題もあり、それを解決しながら進んでいるようです。
今後、JA名西郡神山センターも本格的にかかわることになったら、当然、P-プラスを採用することも視野に入っているという後藤課長。他にもP-プラスの活用アイデアがあるといいます。
「先ほども申し上げたように、9月に収穫したすだちを、各農家が貯蔵して3月まで緑色を保持しています。現在は、一般的な袋を使用していますが、各農家のほうでもP-プラスに注目。出荷だけでなく、産地の中で緑色を保持するうえで活用できないかという検討が始まっています。遠隔地への出荷、緑色保持の期間を延ばすという二つの観点から様々な可能性があると思っています」(後藤課長)
また、どの産地も一緒ですが、高齢化による担い手不足は進み、生産量も落ちてきているのだとか。その対策として、行政、NPO、JAが三者協定を結び、次世代へ産地をつなぐための様々な施策を始めているといいます。例えば、NPOで研修生を受け入れ、生産者として自立するまでサポート。新たな加工品の開発にも力を入れています。
「神山には営農を続けるうえで武器となる、すだちという魅力的な特産品があります。この強みを生かしながら、日本一の産地を守りつないでいこうと考えています。そういった意味で、すだちの命でもある緑を守るため、鮮度保持という面からP-プラスに期待する部分はかなり大きいですね」(坂東さん)
「緑のすだちで売ってきたことがある意味、諸刃の剣となっています。黄色くなると評価が落ちるのですが、高齢化が進んで管理が行き届かない中、緑色を維持するのが難しくなっています。私たちにとっては、“緑のすだち”を消費者の手に取ってもらうことが最重要事項。その価値を維持したまま遠隔地にしっかり送れるようになれば、生産者への還元も可能となります。そういった意味で栽培、生産面から出荷に至るまで、P-プラスに支えられてきたし、これからも期待する部分は大きいですね」(後藤課長)。
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住友ベークライトの営業担当の大石は、「平成18年から、14~15年と大変長くご愛顧いただいております。現在P-プラスは全国で色々な柑橘でご採用いただいていていますが、緑色を維持するというものが他にあまりない中、当初、JAの方々に目をつけていただき、“P-プラスならできるのでは?”と、ご採用いただきました。当初、様々なご苦労やご評価をいただきながら現在まで続いているのは、大変ありがたく、非常に素晴らしことだと感謝しています。今後、販路を遠隔地、海外へと新たに拡大されたいとのこと。私たちも、すだち以外の生産物で海外への輸送検討を行ってきています。同じような機能の付与など、新しい素材の提案ができればと思います」と述べました。 |
お客様の情報
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JA名西郡の特産であるすだちは、すがすがしい香りと、さわやかな酸味が魅力の徳島県を代表する香酸柑橘類です。 |