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P-プラスは今年で発売30年目を迎えます。 発売当初から、P-プラスは鮮度保持フィルムを商品として提供するだけでなく、このフィルムを使っていただくことで生じるメリットや、現在あるデメリットの克服という“うれしさ”を様々な形で提案・提供してまいりました。 前回に引き続き、営業を代表してフィルム・シート営業本部P-プラス・食品包装営業部より、P-プラスグループマネージャーの峰島と研究部門の評価CSセンター長の溝添が、現在注力する“おいしさ”の見える化と、その効果を実感していただける場として機能する評価CSセンターをご紹介いたします。 |
“おいしさ”を見える化し、生産者と消費者をつなぐ評価CSセンターの役割
- まずは、評価CSセンターの役割から教えてください。
- 溝添 孝陽
FS営業本部 P-プラス・食品包装営業部 評価CSセンター長
溝添 |
これまでは主に、お客様のニーズに沿って、“どのようなフィルムが良いか”どういう穴の開け方が良いのか”を検証したり、時にはオープンラボとして実際にお客様にご来所いただき、P-プラスの鮮度保持効果を実感していただく場所として機能してきました。しかし現在は、従来の“鮮度保持の見える化”から“おいしさの見える化”に、その役割がシフトしていると自覚しています。まずは人それぞれに感じ方が違う“おいしさ”を定量的に評価するために、鮮度や硬さや匂い、糖分や酸味、色の変化などを数値にして“見える化”をはかり、その本質を探っています。 |
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峰島 |
現在は、東京の大田市場と、大阪市中央卸売市場本場に拠点を置いていますが、実際に生産者やバイヤーの方々にご来所いただいて試食をしてもらうと、P-プラスで包装したものとそうでないものでは、明らかに“おいしさ”が違うことを体感していただくことができます。 |
溝添 |
この評価CSセンターでは、流通過程や店頭での陳列状況などに様々なシチュエーションを設定して実証実験が可能です。例えば、枝豆は夏場に特設コーナーなどで平台に置くことも多くなりますので、流通過程では冷蔵輸送環境の10℃、販売時は平台の環境に近い20℃の温度帯を設定するなど、実際に流通・販売までの過程を再現した試験が可能です。 現在の日本の農業のシステムでは、生産者が自分たちが生産した農産物が市場を経由してどの量販店の、どの売り場に並んでいるのかがわからないというケースもあります。ということは、どういった温度帯で売られているのかがわからない。市場に近接している評価CSセンターには生産者や市場の人、バイヤーの方々から情報が集まるため、よりリアルな流通、売場状況が再現できます。 |
峰島 |
私たちは、生産者の方々が丹精込めて生産したおいしい青果物をきちんと“おいしい”状態を維持しながら売場に出すために必要な、『縁の下の力持ち』のような存在だと自負しています。 |
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- 峰島 海
FS営業本部 P-プラス・食品包装営業部 P-プラスグループマネージャー
- 製品開発において、評価CSセンターは、どのような役割を担っているのでしょうか。
溝添 |
評価CSセンターでは実証実験や試験データの採取、分析など、あらゆる観点から製品開発にも寄与しています。例えば、菌の増殖を抑制する「抗菌フィルム」や主に肉類の保存に使用される「バリアスキンパック」の開発にも大きく貢献しています。元々、この評価CSセンターでは青果物のみ扱っていましたが、菌を特定する試験装置などを導入し、肉類などにも対応できる体制を整えました。 |
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峰島 |
営業担当は、実際に『抗菌フィルム・バリアスキンパック』を使用して、保存日数によってどれだけ菌の増殖を抑制することができるのかを評価CSセンターで測定し、それを資料に加えてお客様にお伝えしています。やはり単なる製品のPRではなく、トレーサビリティーが加わることで説得力が生まれます。 これらの開発品ついても、スーパーのバイヤー様と接触をしてニーズを聞きだし、評価を進めながら、より良い提案が出来る様な製品の開発を進めています。 |
実際に評価CSセンターを見学してみましょう
- それでは、実際にCS評価センターをご案内いただきましょう。台の上に用意されているのはブロッコリーですね。
溝添 |
評価CSセンターでは野菜や果物といった青果物が保存日数・保存環境によって、どのように鮮度が変化するのか体感いただけるよう準備しています。 例えばブロッコリーは、大根と同じくアブラナ科の一種です。ブロッコリーを密閉した袋の中に封じ込めていると、大根を発酵させて作る漬物「たくあん」と同じような臭いを発するようになります。これはアブラナ科の野菜に多く含まれる辛味成分これが分解されるとたくあんの匂いに似た臭いがします。 このよう状態のブロッコリーを食べても害はありませんが、消費者は袋を開けた瞬間に違和感を覚えます。このたくあんのような臭いは、例え茹でたとしても残ってしまいます。こういった変化を抑えるために、私たちはブロッコリーに最適なP-プラスを選定します。薬の用法・用量を守るのと同じで、目的に合った袋を使わなければ最大の効果は出ません。この背景まで含めた真のニーズの部分に対応して材質や穴の数を変えることで、ベストな状態を作ることができます。 |
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- 産地ごとの個体差はないのでしょうか。
溝添 |
ブロッコリーについては、産地ごとの違いはありません。枝豆に関しては、だだちゃ豆や丹波の黒豆といった産地によってブランドが確立しており、そのブランドが誇るある“おいしさ”の特徴をきちんと守るため、使用する袋も設計が違います。実は、枝豆はP-プラスが登場するまでは、全国、どの地域で採れても「枝豆」という一つの種類として流通していました。ところがP-プラスを使用して流通することで、甘味や旨味の違いなどの特徴が消費者でもはっきりわかるようになり、以降、ご当地ブランドの枝豆として販売されるようになりました。その結果、それぞれの産地が枝豆に独自の名前を付けるようになり、枝豆の市場はとても豊かになりました。P-プラスによって鮮度が保持されるだけでなく、おいしさの特徴が消費者に認識されるようになった好例と言えます。 |
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- 各地域の生産者の方が、きちんと自分たちの農産物をブランディングして拡販する際に、P-プラスがお役に立てるということですね。ところで、こちらの棚にはたくさんのシートがありますが。
溝添 |
こちらはP-プラスの原反です。P-プラスの穴は約60種類、品番にして2000種ほどあります。野菜の呼吸量は温度や品目によって変わってきますので、どんな野菜でも実験できるよう、このように豊富に用意しています。どんな実験をするかというと、例えば各野菜を3パターンの穴の数で実験して、“どれが一番よかったか?”という検証を、試行錯誤しながら繰り返します。 穴の大きさも70マイクロメートルから300マイクロメートルまであります。より多く呼吸をする野菜に関しては、小さな穴をたくさん開けるよりも大きな穴を開けたほうが効率は良くなります。穴の大きさと穴の数を調節しながら、こちらでお客様のニーズに合わせた試作も行います。 先ほどから申し上げている“おいしさ”の数値化もこちらで進めています。検証を進めることで分かってきたのですが、時間が経過するごとに野菜に関しては糖分が減る傾向にありますが、反対に果物は甘味が増して熟していきます。そして酸味は減っていきます。イチゴも未熟なときは酸っぱく感じると思いますが、だんだんと熟していくと甘味を感じてきますよね。甘味だけでなく酸味も数値化することができます。また、果物などは硬さも重要なポイントです。こういった数多くのデータを取得して分析を行いながら、人が“美味しい”と感じる数値を見つけ出していくのが、これからの私たちの役目でもあります。もちろん、私たち独自のデータだけでなく国の研究機関や大学の先生にも協力していただきながら、より信頼性の高い評価を行っています。 |
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- 様々な設備や測定器が並んでいますね。
溝添 |
はい。こちらはカット野菜の評価室です。小型ではありますがフードスライサーや野菜の洗浄機などといった設備を取り揃え、一般的なカット野菜工場と同様の環境を用意しています。これまではカット野菜のメーカーに協力をしてもらっていましたが、様々な条件を出したり、生産ラインを止めて確認することがなかなか難しかったため、社内にこういった設備を作ることにしました。 こちらの装置はインキュベーターといわれるもので、庫内の温度を50℃まで上げられるため、冬でも夏場の温度状況を再現できます。 こういった数々設備を駆使しながら、お客様の依頼に合わせたデータ採取であったり、あるいは新しい農産物が市場に出回る前に取り寄せて、私たちが自主的にデータを取っていくこともあります。例えばパクチーに関しては、流行する前に実証実験を行いデータを取得していました。 また、設備だけでなく人の感覚によるチェックも実施しています。こちらで働いている女性は皆さん、主婦の目線で劣化した野菜や果物を評価します。例えば、実際に手にもって値引きされていたら購入しようと思うか、あるいは値引きされていても購入しない基準はどこにあるのかを探ったり、家にあったら食べるか、それとも捨ててしまうかの線引きを行います。味に関しても過熱して食べてみたり、機械では判断できない部分を人が五感で確認。やはり消費者目線に立って見ることが重要で、最終的にはそれがもっとも生産者にとって有益な情報になることは間違いありません。 |
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- センターの見学は随時可能なのでしょうか。
溝添 |
お迎えするお客様に合わせた準備もありますので事前にご予約をいただいて対応しています。ただ、遠方の産地の方となりますとなかなか見学には来れないでしょうから、当社の営業担当が現地まで赴き、WEB中継にてご説明を行います。あらかじめ、検体となる農産物をお送りいただければ無料で試験を実施します。 このように食品の鮮度についてアカデミックに検証を行っている施設は、日本中を探してもここ以外にはありません。今後も、専門家の立場で大切な農産物の状態を維持、あるいは付加価値を向上させるためのアドバイスや診断も実施してまいりますので、お気軽にご活用ください。 |
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峰島 |
他社製品と比べて若干、価格が高いというお言葉をいただくこともありますが、私たちは決して、フイルムを“売って終わり”ではなく、評価CSセンターでのサポートやアドバイス、コンサルティングもきちん対応し、さらにお客様がお困りの時には当社のネットワークを駆使して売先までご紹介をさせていただくシステムとして、価格以上の価値を提供させていただきます。生産者からお客様に届く“おいしさ”という価値を検証・実感する場所としてぜひ、ご活用いただくようよろしくお願いいたします。 |