ご紹介
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今月ご紹介するのは、JA秋田おばこのモロヘイヤです。 エジプト原産の野菜「モロヘイヤ」は古代エジプトの王族の病を癒してきたとされ、クレオパトラも好んで食したと伝わる野菜。その栄養価の高さは野菜の中でもトップクラスです。日本では80年代にモロヘイヤのブームが到来し、その後も需要が高まり、今では旬の6~9月ごろになると一般のスーパーでも夏の定番野菜として定着しています。この栄養価に優れた野菜の鮮度を守るべく、P-プラスを採用していただいています。そこには、モロヘイヤを栽培してみたいという生産者を増やしていきたいというJA秋田おばこモロヘイヤ部会の皆さんの強い思いも込められています。 |
品質の高さが評価されている秋田のモロヘイヤ
秋田県南部の鳥海山系、奥羽山脈に囲まれた仙北平野は雄物川と、その支流である玉川に沿って広がる、日本有数の穀倉地帯として知られる地域です。美味いお米なのに秋田県では栽培できなかった「コシヒカリ」の良さを受け継ぐお米作りを目標に品種開発され、ブランド米の先駆けとなった『あきたこまち』の一大産地です。おいしいお米を育む豊穣な大地では、枝豆やほうれん草、アスパラガス、トマト、きゅうりなど、いわゆる園芸作物も美味しく育ちます。そして、この地域の農業の発展を支えているのが、平成10年4月、秋田県南部に位置する大曲・仙北地区の1市10町3村に点在していた20つのJAがひとつになって誕生した『JA秋田おばこ』です。“秋田で生まれ育った娘さん”を意味する“秋田おばこ”という名が公募によって命名されました。
『JA秋田おばこ』の誕生と同時に結成されたのが、「JA秋田おばこモロヘイヤ部会」。実は、モロヘイヤは、今から30年以上も前から当該地域で生産が続いているのだといいます。
「モロヘイヤはオクラと同じエジプト原産の野菜です。エジプトでは古代より王侯貴族の食卓を飾ったとされる栄養価の高い野菜です。しかし私たちが出荷をはじめた当初日本では、静岡、沖縄、群馬など限定された地域でしか栽培されていませんでした」
というのは、JA秋田おばこモロヘイヤ部会長の高川吉昭さん。名前が知られていない新しい葉物野菜は、当時、なかなか消費者が振り向いてくれなかったといいます。
「私たちも関東の方まで足を延ばして、積極的に試食販売やPR活動に出向きました。それから5年くらい経っ頃からモロヘイヤの栄養価の高さに注目が集まり、一気にブレイクしました」このように80年代にモロヘイヤのブームが到来し、その後も需要が高まり、今では旬の6~9月ごろになると一般のスーパーでも夏の定番野菜として定着しています。
モロヘイヤの栄養価は、カロチン、カルシウムの含有量が野菜の中でトップクラス。ビタミンB、C、Eも豊富に含まれています。さらにモロヘイヤをはじめ山芋やオクラなどネバネバした食材に含まれる成分は、血糖値やコレステロールの上昇を抑制し、細胞と細胞をつなぐ保水力を持ち、胃の粘膜を保護します。また、ケルセチアンという成分には強い抗酸化作用があると言われています。空前の健康ブームを背景に、『医食同源』と呼ばれる「日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、体調を整える」という考え方が一般的になり、モロヘイヤの出荷量も、どんどん延びて、今では40軒の生産者が、千葉、横浜、東京都内のスーパー及び地元の市場、岩手の生協にも出荷しているのだそうです。
「モロヘイヤは市場価格が高い状態で常に安定している人気の野菜です。お客様への供給が間に合わず、『現在の倍は出荷してほしい』との要望をいただくほど。残念ながら、常に生産が追いついていない状況が続いています」
秋田おばこのモロヘイヤの人気の秘訣はその品質の高さにあるといいます。他の地域で生育されたモロヘイヤに比べて葉と茎が柔らかく、色も鮮やか。粘りが強くて味も美味しいとの評判を集めているのだとか。
「モロヘイヤ部会のメンバーで定期的に集まって、情報を共有したり、意見を交換したりしながら品質の維持・向上に努めています。肥料や水の管理法、強い雨風に直接当てないようにするなどの生育方法を統一しています。モロヘイヤ栽培に関しては割と丈夫な野菜ではあるのですが、収穫後は非常にデリケートで、なおかつストレスがたまりやすい。非常に管理が難しいため、経験が豊富な生産者のアドバイスは重要です」
鮮度低下の原因がわからなかった
ほうれん草など、他の葉物野菜のように地中に根を伸ばすのではなく、一本の木に生えているというモロヘイヤ。その枝と葉だけを25cm程度の長さで摘み取って袋詰めをするといいます。「根が付いた状態で出荷する他の葉物野菜と違って、若い時期の柔らかな葉と茎を食べるモロヘイヤはどうしても鮮度の低下が早く、一部の生産者が栽培したモロヘイヤに葉先のとろけが発生。クレームが相次いだことがありました」
この問題に対して、肥料や水かけの指導を行ったもののなかなか解決には至らなかったのだといいます。
「肥料や畑の土質を分析しても、はっきりした原因がなかなかつかめません。県の方からも指導者にきてもらいましたが、まったく手の打ちようがない状態でした」
5年間ほど試行錯誤し、もはや根本から解決ができなくても、運搬時の劣化を防ぐことで、お客様に良い状態のモロヘイヤを手渡すことができるのではないかと思い至ります。
「ならば、包材を変えてみたらどうだ?という意見が部会のなかで持ち上がりました。モロヘイヤの収穫時期は6月にはじまり、夏場の暑い時期を過ごすことになります。出荷後の物流段階で劣化を防ぐことで、鮮度低下を防げるのではないかと考えました」
そんなタイミングで生産者のネットワークを通じP-プラスの情報を入手。早速、試験をしてみると明らかに効果があることがわかったといいます。
「すぐにP-プラスを試してみたら、明らかな違いが目に見えてわかったんです。そこでクレームのあった圃場のモロヘイヤをP-プラスに封入して試しに出荷してみたらすぐに品質改善が確認でました。市場からも『あのモロヘイヤ、ずいぶんモノが良くなったね』と言われた時には、ほっとしましたね。部会の役員の方はみんな責任感が強く、ずっと悩み続けていたので、精神的に楽になりました」
P-プラス活用で栽培の魅力を実感
昨年から、問題のあった圃場だけでなく、部会全体でP-プラスを採用することにしました。そこには価値あるモロヘイヤを安定して市場に提供しようと考えがあるのだといいます。その背景には、モロヘイヤ農家の高齢化に伴う栽培面積の減少という問題が横たわっています。 「30年前から栽培を続けている生産者は、モロヘイヤの魅力を十分に理解しています。優れた栄養価があり、健康な食材への意識の高まりも追い風になって、他の葉物に比べても平均単価が圧倒的に高く、しかも安定しています。それによって生産者の収入も安定。木から集荷するので、作業の際に無理な姿勢にならず、身体の負担も少ないなどの好条件が揃っているものの、なかなか若い人はやりたがりません」 若い人たちはどうしても、花やキュウリ、トマトなどの作物へ興味を持ち、多少地味なイメージのあるモロヘイヤに関心を抱く人は少ないのだとか。「しっかり魅力を伝えていって、栽培者を増やさなければいけない」と高川さんはいいます。 「場合によっては、農業法人や新規就農者を受け入れるという手もあります。そうなると当然、モロヘイヤの生産経験は少ない。ある程度の期間やってもうまく行かなかったら撤退してしまう可能性もあります。だからモロヘイヤ生産の魅力を早く実感していただく必要があります。そのためにはP-プラスを活用し、しっかり品質を維持、ロスになることを抑制できれば収入も安定し、市場からの信頼も得やすくなります。そういった意味でも今後、P-プラスは重要な役割を担って行くものと期待しています」 |
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