ご紹介
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今月ご紹介するのは、赤城根愛菜会(旧:ヤマダイファーム)の『ホーレン草』です。 最近は通年で市場に出回るほうれん草ですが一般的に旬は11月から1月の晩秋から冬にかけてといわれています。しかし赤城根愛菜会の『ホーレン草』は、寒さが好きなほうれん草が苦手とする春から、夏にかけて一層輝きを増すと評判です。 同社のP-プラスの採用は実に26年前。P-プラスが発売されて間もない頃から採用していただいています。採用にあたり、当社の工場で研究者と試験をしたり、逆に研究者が畑に赴いて意見を交換したりしながら製品を最適化していったという、P-プラスにとっては育ての親のような生産者様です。近年、法人名を赤城根愛菜会に一新し、まさに春から夏を迎えようとする今、再び訪問しお話を伺いました。 |
ほうれん草の産地としての絶対の信頼
葉物野菜といえば、まず思い浮かぶという程、ほうれん草は日常的な野菜の代表です。スーパーなどの小売店頭では、いちばん目立つところに一年中陳列されていて、必需品ともいえる存在になっています。周年を通じて消費ニーズがあるほうれん草ですから、その生産地も消費地周辺に広く展開されています。最も大きな消費地である関東地区では、千葉、茨城、埼玉、栃木、群馬の各県が、首都圏3500万人の需要に応えているのです。
なかでも主産地といわれるのが、京浜地区でいまや年間4割以上ものシェアをもつ群馬県です。近年、農家の老齢化や人手不足などによって都市近郊産地の生産と出荷が減る傾向にあっても、群馬県だけは生産量を維持して、首都圏の胃袋をひとり担っているかのようです。その大きな理由のひとつが、群馬県のほうれん草の産地は、平坦地から標高400~500mまでリレーして周年生産し供給を切らさないからで、産地としての絶対の信頼を得ています。
周年供給するにあたって、とりわけ重要なのは春から夏を経て秋に至る時期。ほうれん草は性質上“寒さ好き”の野菜であるため、暑さは苦手なのです。その点、群馬県には暑い時期の栽培に適する高原地帯が広がっており、適期の冬場はもちろんのこと、夏でも冷涼な高原産地を有する、わが国有数なほうれん草適地だといえます。
全国のバイヤーから“指名買い”される理由
そんな群馬県にあって、ほうれん草の品質が“ピカイチだ”と大きな評価を得ているのが、「赤城高原」に立地する赤城根愛菜会です。近年変更したばかりの社名の由来を薗田社長は『友人が別の地区で吾妻愛菜会というのをやっていて、いい名前だなと思い使わせていただきした。赤城根はここ(群馬県利根郡昭和村)の地区の旧名です。現在は3軒の生産者でほうれん草のほかにトマト、白菜、キャベツ、ネギなどを生産しています』と説明。
同社が供給するほうれん草は、『ホーレン草』の商品名を掲げ、すでに20年以上前から周年供給を続けていますが、卸売市場だけでなく生協やスーパー業界まで“知る人ぞ知る”といわれる生産農家です。年間を通じて約50万パックもの『ホーレン草』を全国に出荷していますが、とりわけ夏場を中心として遠くは九州地区まで出荷されたこともあり、スーパー店頭では消費者から、また業務用需要者からも“指名買い”されるほどだといいます。
赤城根愛菜会の『ホーレン草』は、どうしてそんなに評価されているのでしょうか。とくに、「夏場のほうれん草はおいしくないし、すぐ萎れてしまう…」などと一般的に言われていますが、同社のほうれん草は違います。そのコクと旨み、そして鮮度のよさには「これが夏場のほうれん草?」と驚きの声が上がるほどです。
畑の採れたて『ホーレン草』は、新鮮そのもので渋みもなく、生でも食べられるといいます。理由はいくつかありますが、まず同社が立地する赤城高原は、標高400mという準高冷地で、夏でも1日の寒暖差が大きく、コクのあるほうれん草が育つ環境であること。さらに雨除けハウスで大切に栽培し土壌中の微生物をコントロールして連作障害を出さないこと。そして、半有機栽培をしていること。その理由を薗田社長は『土の中の窒素が少ないからほうれん草が苦くないし、食べた後には甘みを感じるんです』と言います。半有機農法とは化学肥料とたい肥を組み合わせて使用する農法です。種も季節ごとに4種類ほど採用しています。中でも健康的な強い土壌を作ることに一番力をいれていて、バーク(杉皮)を原料とし良質な腐植に富み、土をフカフカにして肥料の効きを良くし、作物の生育に優れた効果を発揮する特殊肥料VS(ビタ・ソイル)と、独自のぼかし技術(肥料となる有機質を微生物によって発酵させ、原形を「ぼかす」ところから「ぼかし)と呼ばれています)を組み込んだ、自然環境を100%利用した栽培方式を実践し、濃厚な食味を育てています。
ずっと変わらないチャレンジ精神
そんな赤城根愛菜会が、全国のほうれん草産地に先駆けてP-プラス包装を採用したのは、今から26年前のこと。生産当初は一般的な防曇フィルムを使用。「真夏の暑い時期、出荷後の店頭における鮮度劣化に悩まされていました」と薗田社長はいいます。 「どうすれば鮮度を保持してお客様までお届けできるのか、いろいろ調べたところ、包装材の代理店の紹介で当時はまだ開発段階であったP-プラスに行き当たりました」 26年前と言えば、まだP-プラスも工業化の黎明期。 「住友ベークライトの研究者もよく圃場を訪れてくれて、私たちと意見交換をしましたし、私も尼崎の工場へ出向いたりしながら、一緒に開発を進めていきました。試行錯誤を繰り返しながら、ほうれん草に適したP-プラス包装がかたちになった時には、達成感を覚えましたね。もちろん、採用してから、スーパーの野菜売り場のバイヤーからの評判がものすごくよくなりました。従来であれば、すぐに見切り品になるところを、鮮度のいいほうれん草として長く棚に並べられたと感謝されました。その噂は広く伝わり、その結果、夏場に九州まで出荷したこともあります」 赤城根愛菜会の『ホーレン草』が、一定の評価を獲得した今でも、前向きな創意工夫の姿勢が衰えることはありません。特に土づくりへのこだわりは種苗屋の方も驚くほどだといいます。 「おいしい『ホーレン草』をつくるための土づくりには、常にこだわりを持っています。現状に満足することなく、日々試行錯誤を積み重ねています。また同様にポイントとなるのが“タネ”。一口にほうれん草といっても多くの品種があります。最近の気候変動もふまえ、この土地にあった新品種を生み出すため、種苗会社といっしょに取り組んでいます」と今よりもっと・・・という気持ちで改良を続けていくという薗田社長。 |
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常にチャレンジを続ける同社の姿勢はまさに「愛菜家」、その努力が最終的には、消費者にとって安全で美味しい農産物を届けることに繋がります。P-プラスも長きに渡って、新鮮なほうれん草の安定供給の一助となっているとしたら嬉しい限りです。
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