ご紹介
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今月ご紹介するのは、日通ファーム株式会社のDESIGN×SALADです。日本通運が手掛けた新規事業、日通ファームでは“サラダのために生まれた野菜”のコンセプトのもとに生で食べられる安心・安全、そしてスタイリッシュな野菜を生産しています。 葉物野菜の流通過程での環境変化による鮮度低下を防ぐために一般的な防曇袋とP-プラスの両方を採用し季節や流通の条件、運ぶ先に合わせて適切な包材を使用。同じデザインで必要に応じて使い分けていただいています。 |
「DESIGN×SALAD」という新しいコンセプトから生まれた葉物野菜
日通ファームは、日本を代表する物流大手として知られる日本通運株式会社が推進してきた新規事業の一つです。同社が従来からつながりの深い『農業分野』の発展に寄与したい、そのためには『農業を知ることが大事』と自ら生産にチャレンジ。2016年、物流のプロが培ってきた農作物輸送のノウハウを生かして山梨県北杜市に農業の新会社を設立しました。現在、営業・財務部長を兼務する諸井奈美さんは、元々、日本通運で、国際航空貨物輸送事業の営業を担当していたといいます。
「日通ファームの立ち上げから参画してきました。農業の経験がまったくない企業でしたので、そんな私たちでも無理なく安定した生産、運営が可能な栽培方式を模索。それなりにマニュアル化されている太陽光利用型の植物工場を採用し、そこで比較的リスクの低い葉物野菜を栽培することにしました」
“サラダのために生まれた野菜”というブランドコンセプトを掲げ、生食のサラダとして食べて美味しい、少しユニークな食材をラインナップ。「現在はパクチー、サラダ春菊、サラダホウレンソウを栽培。20~30代の女性をターゲットに、スタイリッシュなロゴをパッケージに配し、ブランド名を「DESIGN×SALAD」としました」
山梨県北杜市に生産拠点を置いた理由は三つあるといいます。「ひとつは、この地が農作物の栽培に適した環境にあるということ。日照時間が長く、南アルプスを水源としたきれいな水が豊富にある点に注目しました。さらに首都圏へのアクセスの良さ。これは物流の面からも押さえておくべき重大なポイントです。三つめは、北杜市の行政が若者の働く場を増やし、耕作放棄地を解消するために企業誘致に積極的に取り組んでいらっしゃったということ。はじめて農業に取り組む私たちにとって、最適な条件がそろっていると感じました」
日通ファームの農場は、標高600m、甲斐駒ヶ岳山麓に広がる高原の自然に囲まれたエリアにあります。山梨県北西部に位置する北杜市は、八ヶ岳と南アルプスの峰々や国蝶オオムラサキの美しい姿、高原の清々しい空気やそこで暮らす動物たち、長い時間をかけて作り出される南アルプスの澄んだによって、ウイスキーの蒸溜所やミネラルウォーターの取水地に選ばれる水の郷。そして日本で最も日照時間が長いという恵まれた気象条件をいかした農業が盛んな地域です。
同社の栽培方式は水耕栽培、養液栽培と言われるもの。日差しを通すビニールハウスで水耕栽培期間中は農薬を使用せず、南アルプスの地下からくみ上げたきれいな水と、太陽の光で育てています。育苗以外では一切、土は使わず、発泡スチロールのパネルの下に肥料に入った水を流し、そのうえで野菜を生育しているのだとか。
「工場を立ち上げたときには、同じ養液栽培を行っている農業法人様に研修にうかがったり、メーカーの担当者から指導をしていただいたりしました。とはいえ、未経験の私たちだけでは、少々不安もありましたから、工場の操業にあたり農業経験者を雇用し栽培管理の職に従事してもらっています」
出荷を開始したのは2017年8月。いくつかの問題を乗り越えながら、約1年半が経過した今、手ごたえを感じはじめているといいます。「首都圏の大手流通小売りさんを中心に、販路を広げながら、順次出荷量を増やしています。来月から新たに一品目、ルッコラの生産を開始。出荷先の数と生産量のバランスを見ながら、販路を拡大しています」
軟弱なパクチーの劣化が多発
農業未経験だった諸井さんは、当初、野菜を包装する包材へこだわりが薄かったのだといいます。
「スタートアップの段階にあったので、できるだけコストは抑えておきたかった。包材を検討する段階において、私たちはすでにP-プラスの存在は認識していましたし、ちょっとした実験も行ってはいました。通常のPPの袋とP-プラスの両方にパクチーを入れて冷蔵庫に保管して比較してみたら、実はどちらもあまり状態に差がなかったのですね。ですから、安価な防曇袋を採用してしまったのです」
でも、その選択が間違いだったことを、後から知ることになったのだと諸井さんは言います。
「大型スーパーにパクチーを大量に出荷していたのですが、夏場を迎えると葉先が溶けるなどの劣化が多発。ここから出荷して、流通拠点や店舗のストックヤードを経由するのですが、どうやら保管場所によって温度帯に波があることがわかり、軟弱なパクチーには厳しい環境なのではないかと考えられました。温度変化による影響は冷蔵庫内での実験だけでは予測ができていなかったのですね」
そこで、すぐにP-プラスの存在を思い出し、包材を扱う商社経由で住友ベークライトに検証を依頼したといいます。
「東京・大田市場の目の前にある住友ベークライトの研究施設でP-プラス包装での保管実験を繰り返すと、例え保管場所によって温度の違いがあったとしても、葉物野菜の状態が極端に悪くはならないことがわかりました。すぐに採用を決定し、それから2か月後にはスムーズに切り替えることができました」現在は住友ベークライトから一般的な防曇OPPとP-プラスの両方を採用し季節や流通の条件、運ぶ先に合わせて適切な包材を使用。同じデザインで必要に応じて使い分けができる、そこに魅力を感じて頂き採用となりました。
新しいサラダの文化を作っていく
出荷先の反応は非常に良かったと、諸井さんは当時のことを思い返します。 「P-プラスを採用した途端に廃棄率がかなり抑えられたということで、良い評価をいただき、今年も契約を継続していただくことになりました。あのまま何の対策せずにいたら、お客様とのお取引がどうなっていたか……。P-プラスに助けられたと感じています」 未経験から始まった農業も順調に推移。今後は、さらに付加価値をつけていきたいと考えているといいます。 植物工場での野菜栽培は、基本的に農薬を使用せず、栽培履歴管理をしっかり行うことが前提となっているため、小さなお子様や食に深い関心をお持ちの方々にも安心して召し上がっていただける野菜作りに適していると言えます。そのメリットを広くお客様に認知していただくことを目指して日通ファームではASIAGAP認証(食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)を取得しました。 「私たちが目指しているのは、新しいサラダの在り方そのものを提案していくこと。もっとたくさんのお客様に、その価値を認識してもらえるような、啓蒙活動も続けていければと思っています。そのためには、P-プラスの「鮮度を保持する」という機能性もアピール材料のひとつにしたい。主にスーパーさん向けにはなりますが、P-プラスを活用しているから鮮度が保持されているという「安心感」も提案していければと思っています」 つくる人、食べるシーンによって使い方はいろいろ。いつものサラダのバリエーションを広げて、つくる楽しさ・魅せる喜びを共有したい。そんなコンセプトを掲げるDESIGN×SALAD。サラダを愛する方々のために従来のサラダの概念を覆し、新しい食文化を築こうという日通ファームの挑戦に、私たちも鮮度保持という機能によってサポートできればと思っています。 |
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