ご紹介
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今月ご紹介するのは、JAゆうき青森の『ながいも』です。平成22年4月1日、4つのJAが合併して「JAゆうき青森」は誕生しました。 JAゆうき青森の『ながいも』は全国一の生産地として知られる青森県の中にあって、県内一の生産量と品質を誇っています。以前は、ながいもの流通はダンボールに緩衝と保湿のためのオガ屑を入れて出荷されることが多かったのですが、遠隔地への流通を検討するにあたり包装形態を見直し、鮮度保持の性能と鮮度の見える化によって流通の課題を改善のためにP-プラスを採用していただいています。 |
冷たい“やませ”に育まれた青森のやまいも
JAゆうき青森が管轄する上北地域は、西には八甲田連峰を望み、そのすそ野には広大な大地が広がります。北部は県内でも有数な豪雪地帯で冬は雪に覆われます。夏場にはオホーツク海上の高気圧から吹き込む季節風「やませ」の影響を受けるエリアです。実はこの冷たい「やませ」は、青森特産のながいもが美味しく育つ大きな要因の1つなのだといいます。
「夏場、海から吹き付ける偏東風「やませ」はミネラル分を含んだ水蒸気を畑に運び、その湿り気を帯びた冷たい風は冷涼な気候を好む根菜の栽培に適します。そして昼夜の寒暖差は土中のながいもなどの根菜の甘みや旨味を増していきます」と説明するのはJAゆうき青森の乙山洋次さん。この特有の気候条件に加え、恵まれた八甲田山ろくの土壌、奥入瀬の清涼水などの要素が揃い、今回ご紹介するながいものほかにも、にんにく、ごぼう、葉つきこかぶ、だいこん、地元では「ほどいも」と呼ばれる北米原産のマメ科の植物アピオスなど、いわゆる土中で生育される根菜類が美味しくなるのだといいます。
JAゆうき青森から出荷されるながいもは、全国一の生産地として知られる青森県の中にあって、県内一の生産量と品質を誇っています。
「春と秋の二度に渡って収穫され、貯蔵・選果、厳しい品質・規格のチェックを行われたうえで、日本全国に通年出荷しています」
現在、同JAながいも部会は520名ほどの生産者が加盟しており、その活動を支えているのが、JAゆうき青森による積極的なサポートです。平成21年には最大で1日48トンのながいもを処理することができるという「ながいも洗浄選別・貯蔵施設」を導入。全国有数の規模を誇る施設をフル稼働することで、安定した出荷体制を確立しました。
また、ながいも部会では独自の「ながいもエコファーミング認証システム」を設定。徹底した土壌づくりを推進して安心・安全で美味しいながいもを生産しています。
JAゆうき青森のながいもの特徴といえば、シャッキリとした歯ごたえと強い粘り。たんぱく質やミネラル、ビタミンが豊富なため、昔から滋養強壮野菜として認識されてきました。また消化酵素を多く含んでいるため、一緒に食べた食材の消化を促進するともいわれており、食欲が減退する夏場や病院の流動食としても重用されています。
「青森のながいもは、春に植えて11月から積雪前の12月にかけて収穫する“秋掘り”と、雪解け後の3月から4月頃に収穫する“春掘り”とに分類されます。特に“秋掘り”のものはみずみずしくて皮も薄く、シャキシャキした食感が強いため、短冊切りにして生のままいただくのに最適です。一方の“春掘り”は厳しい寒さに耐えて旨味も成分も凝縮されているため、熟成された美味しさがあります」
P-プラスを採用することで流通課題が軽減
そんなJAゆうき青森が、ながいもの出荷包材としてP-プラスを採用したのは、14年程前のこと。
「長年にわたって、ながいもは流通体系に多くの悩みを抱えていたと聞いています。従来は、ダンボールに緩衝と保湿のためのオガ屑を入れて出荷していたのですが、オガ屑は、消費地ではゴミ扱いになってしまうため、新たな流通形態を模索していたようです」
コンテナ流通を前提とした包装形態を模索していたが、通常の袋では収穫から3日くらいで変色してしまいます。すでに全国に出荷していたため、それでは遠隔地への出荷ができないと判断。「様々な包材を試す段階でP-プラスと出会ったようです。実際に試してみると常温で2週間置いても鮮度を保持することを確認できました。P-プラスを活用すれば、レンタルコンテナでもダンボールでも流通が可能になると考え、採用することにしたようです」
さらに、P-プラスで包装することで、商品の“見える化”も可能に。現在は、カットながいもと一本物の両方にP-プラスが採用になっていますが、流通過程や小売店頭での取り扱いも丁寧になり、商品ロスが大幅に減少し、クレームもなくなったといいます。
「短くカットされたながいもは、どうしてもカット面からの二酸化炭素の発生量も増えやすく、断面が空気に触れることで“乾燥”と“酸化”が進んでしまい、酸味や苦み等の原因となってしまいます。P-プラスを採用したことで、袋内の酸素・二酸化炭素濃度の透過量を調整、青果物の呼吸を抑制し冬眠状態にすることで劣化を抑えているという話を聞いて納得しました」
市場の信頼を得るためには、周年変わらずに同一品質で供給されるかどうかが最大のポイントであり、商品として信用できるながいもの地位を獲得するためにP-プラスの力が必要不可欠だったと乙山さんは言います。「貯蔵技術や厳しい品質・規格のチェック体制を経て、P-プラスによって鮮度を“見える化”したながいもは、流通小売業界から高い評価をいただいています」
すべては生産者の負担を軽減するために
また、JAゆうき青森は今年から洗浄段階で生まれる長いもの頭などの残さを活用した『ながいも発電』を開始したのだといいます。
「ながいもの残さをメタン発酵し、バイオガスを発生させて、出力30kWのガスエンジン発電機を稼働させて発電しています。これにより廃棄物処理費用の軽減はもちろん、売電や冬場の農業を可能とする熱電供給システムへの活用も可能となりました」
この『ながいも発電』はもちろん、大規模洗浄装置の導入や鮮度を維持するサプライチェーンの確立など、常に様々な新しい取り組みにチャレンジするのも、すべては生産者をサポートしたいという思いからだと乙山さんは言います。
「これからも生産者の負担を軽減するために何が必要かを考えながら、活動を続けていきたいと思います」
JAゆうき青森の取り組む、生産に適した環境に育まれた美味しいながいもを周年で市場に提供すること、同時に生産者の負担を減らしたいという課題への挑戦に、P-プラスも鮮度保持の側面からお手伝いさせていただければと思います。
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