12月のP-プラス青果物 JA佐渡【おけさ柿】 | 住友ベークライト株式会社

JA佐渡【おけさ柿】

ご紹介

今月ご紹介するのは、JA佐渡の「おけさ柿」です。

“ニッポニア・ニッポン”という日本を代表するような学名の鳥、トキが生息する新潟県の佐渡島は、四方を海に囲まれた海洋性の気候を活かした農業や漁業が盛んです。

「おけさ柿」は、昭和初期に佐渡島で生産の始まった地域を代表する農作物の一つです。今回は色よし、味よし、器量よしと人気の高い、おけさ柿の冷蔵保存の取り組みとP-プラスを採用に至るきっかけをご紹介します。



佐渡島のブランド農産物「おけさ柿」

新潟県西部、日本海に浮かぶ佐渡島。広さは東京23区の約1.5倍、気候は海洋性で、四季の変化に富んでいます。新潟県というと雪国というイメージがありますが、本土と比べて雪も少なく、四方を海に囲まれた独特の環境を活かした農業や漁業が盛んに行われています。

「主要農産物は米『佐渡米』ですが、海に囲まれているためか南方のみかんから北方のリンゴまで、まるで日本の農業の縮図のようなかたちで、様々な果樹栽培が盛んです。また、科学的根拠は定かではありませんが、海水に含まれたミネラルが海風に乗って、農作物の食味に良い影響を与えているといわれています」と説明するのは、JA佐渡 園芸振興課の課長である磯部健一郎さん。JA佐渡は、昭和49年に18のJAが合併し発足、平成4年にさらに5JAが合併、佐渡島の広範囲を担当しています。

「佐渡島全体として、トキをシンボルにしながら、米を中心とした、環境保全型農業を推進。農業は漁業と並ぶ、佐渡島の産業の柱です。JA佐渡としては、独特の資源を活かしながら、他の地域では実現できない農業を、持続的に行っていくことを目指しています」

おけさ柿は、そんな佐渡島、および新潟エリアならではのブランド品。品種は平核無(ひらたねなし)という種無しの渋柿で、その名称は佐渡の民謡『佐渡おけさ』に由来しています。

元々、日本の柿は甘柿と渋柿に分類。10数年前までは甘柿が多く愛好されていたようですが、ここ数年の間に、種の無い渋柿に需要がシフトしてきたのだといいます。

「種がないという手軽さと、和歌山県が先導し、拡販をしたことで、渋柿の全体の認知が広がったのではないかと思います。佐渡島産のおけさ柿は当初、柿が育たない北海道に向けて出荷されていたのですが、そこから関東、関西へと市場が拡大していきました」

おけさ柿の特徴は他産地のものに比べても鮮やかな色あいと形の良さ、加えて甘みも高いこと。もちろん品質にもこだわりをもっていて選別基準も高いのだといいます。磯部さんは「色よし、味よし、器量よしの三つのキーワードを売りにしています」と力説します。

「昭和6年頃に佐渡で生産がはじまったといわれており、渋みのある柿を収穫した直後に、産地で脱渋をして出荷しています。その方法はいくつかありますが、JA佐渡では炭酸ガスを使用しています」


冷蔵保存によって新しいおけさ柿の価値を創出

P-プラスの使用について検討を開始したのは、産地における構造的な課題があったからと磯部さんは言います。

「20年前から比べると、おけさ柿の収穫量は1/5にまで落ち込んでいました。その理由としては、全国で生産されるようになって価格が下落したことと、後継者不足により撤退する農家が出てきたことによります」

出荷量が減少すれば、農家の収入も下落し、産地は立ちいかなくなってしまいます。再生するために、この先どうするか?とJA佐渡としても、様々な方策を練っていたといいます。

「一度小さくなってしまった収穫規模を一気に増やすのは難しいので、小さいなりに戦える手段はないかということで、付加価値の高いものの生産に転換する必要がありました」

そんな議論を繰り返す中、十数年前からおけさ柿の冷蔵長期保存にトライする農家のグループが出現。これまでは11月中旬までに終えていた出荷期間を伸ばすことで市場に柿のない時期に出荷し付加価値を高め所得向上を図る計画だったといいます。それは人気のあるおけさ柿の販売時期を少しでも延長したいという市場からの要請でもありました。

その農家のグループが実施していたのは、収穫した生柿をビニール袋にいれ、袋の中で渋を抜くという手法でした。

「ところが、もっともおいしくなる時期よりも前に早もぎして袋に封入する、そのタイミングの見極めが難しく、柔らかくなりすぎたり、味が薄かったりなどの問題が発生。このままでは歩留まりは悪化するし、そもそも本当のおけさ柿の魅力が消費者に伝わらないのではないかという懸念がありました」

そんなとき、職員が入手したP-プラスに柿を入れて試してみたのだとか。「冷蔵品ではなく、通常通りに産地で脱渋した柿を選果場でP-プラスに詰めして貯蔵してみたら、従来品より状態が良くなることがわかりました。そこから住友ベークライトに相談し、本格的な検討を始めたのです」

この試験の過程でP-プラスを活用することで、鮮度保持のクオリティがアップするのはもちろんだが、従来の加工方よりも作業工程が簡素化されることがわかったのだとか。「これまでは袋に入れる時に脱渋していましたが、P-プラスであれば、冷蔵しない他の柿と同じように脱渋して、それから袋詰めすればいいので、生産者の負担が減ります。やはりP-プラスを使用する方法にシフトしていくべきではないかという話になりました」

ブランド力を向上させるP-プラスの存在

2年間に渡り、新潟県の関係機関の協力を得ながら、試行錯誤を繰り返した今年、技術的な課題がすべてクリア。待ちに待った初めての出荷にこぎつけました。もちろん、これがゴールではなく、発展途上にあると磯部さんは言います。

「やると決めたら、何をおいてもおけさ柿の特徴を出していかなければ、お客さんはもちろん、我々も納得しません。最盛期の味に限りなく近づけるのが目標で、そのためにはこの方法がベストではあるのは間違いありませんが、P-プラスに入れるタイミングや冷蔵の温度帯、いわゆる出荷する前後の処理において、まだまだ技術的に向上の余地があると思っています。当然、これからも住友ベークライトと協力しながらブラッシュアップを進めていきたいですね」

ブランド生産物は、その品質が産地の色となるため、そこはしっかり維持しつつ、このおけさ柿の魅力を消費者にしっかりお届けしていきたいという磯部さん。「そういう意味で、品質保持を協力にサポートしてくれるP-プラスの存在は重要です。この冷蔵柿がブランドを牽引する商品となっていけるよう、さらに磨きをかけていきたい。それこそが、産地が元気になる方策になります」

佐渡の特産品『色よし、味よし、器量よしのおけさ柿』の出荷時期を市場に柿の少ない時期に出荷しようという冷蔵柿の取り組み。まだまだ向上の余地はあるというJA佐渡の高い探求心。そのチャレンジにP-プラスも一助となれるよう一緒に進化していきたいと思います。

お客様の情報

JA佐渡

    〒952-8502
    新潟県佐渡市原黒300番地1 営農事業部
    TEL: 0259-63-3101(代)

JA佐渡では日本一安心・安全でおいしい農産物の島「佐渡」の実現を目指して、恵まれた自然を生かした、日本一安心で高品質な農畜産物を地域と一体となって育んでいます。代表的な特産品佐渡米をはじめ、色よし、味よし、器量よしのおけさ柿など個性豊かな農作物を全国にお届けしています。