ご紹介
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今月ご紹介するのは、宮崎県の最南端に位置する串間市のくしまアオイファームの「さつまいも」です。 串間をさつまいもの聖地にしたいという目標を掲げ、お客様に「おいしい」と感動していただけるにはどうすればいいのか知恵をしぼり日々進化し続けています。包材や栽培方式などにこだわっていくことが付加価値を提供することにつながるという思いからP-プラスを採用していただいています。 |
直販へのチャレンジで活路を見いだした
宮崎県の最南端に位置する串間市は、その昔からサツマイモの作付けの盛んな地域ではありました。しかしながら、種子島の「安納芋」や徳島の「鳴門金時」のようなブランドもなく、かといって焼酎などの加工用が大半を占めるわけでもなく、青果用として良くも悪くも“普通の価格帯”で取り引きされていました。ところが、今から10年ほど前、煙草の廃作により転作を試みたサツマイモの新興産地が全国各地に登場。その影響によりサツマイモの単価の急激な下落が始まったのだといいます。「年々、売り上げが減っていきました。このままでは生活が成り立たないのではという危機感がありました」と当時を振り返るのは、株式会社くしまアオイファームの池田誠社長。活路を見いだすために、直販体制をスタートしたのだといいます。
「福岡などの都市近郊では、当時から自分で流通を見つけて直接販売を行い、高い収益をあげている小規模な農家さんがたくさんいました。やはり待っているだけでなく、自分たちで能動的に販売ルートを開拓し、自らが値付けをしていかなければ、安定的かつ継続的な収益をあげることは不可能だと思ったのです」
思いに共感する契約農家の輪が広がっていった
地道な営業活動を続け、地元の小売店から福岡、大阪へと販路を拡大。手応えを感じ始めていた頃に、海外への輸出を思い立ったといいます。
「宮崎県産のサツマイモは、すでに10年ほど前から香港に輸出されていました。ところが60円で出荷したものが現地の売場では500円で販売されるなど、生産者の利益に直結していない状況にありました。私たちが取り組んでいた直接流通のスタイルであれば、この問題は解決できると思い、まずは国内の商社に営業をかけたのです」
池田社長の狙いは的中。さらに、現地では炊飯器や電子レンジで調理をするため、小ぶりのさつまいものニーズが高いことに着目しました。
「歩留まりの良い小畝密集栽培法に切り換え、さらに宮崎紅や紅はるか、パープルスィートなど、多彩な品種の作付けを開始。県の基準を大きく下回る最低限の農薬、化学肥料を使用し、大量生産、大量出荷ではなく、こだわりを持った栽培法で、串間のさつまいもの魅力を最大限に引き出していこうと考えました」
さらなる躍進を目論み、2014年に法人化を実施して、若い職員を積極採用。ネット通販にも注力をしはじめました。現在は、パートを含め19名の従業員で、生産から販売、加工までを行っています。自社直営農場の作付面積は7ha程度ですが、池田社長の思いに共感する契約農家の輪が広がっていきました。 「現在は30名の契約農家の方々とともに、合計100haの規模にまで拡大しています。出荷量は2500~3000トン。現状、海外出荷分は15%ですが、3年以内にはこれを30%にまで引き上げたいと考えています」
契約農家には若手の農場主が多く、くしまアオイファームとの協業により、自らの農場を拡大している人もいるのだとか。何よりも可能性の広がりを感じているという声が多く寄せられているといいます。
「こんな辺鄙な場所にある小さな農家が、アイデア一つで、このような大きなビジネスを展開できる。私たちが頑張ることで日本全国の小さな農家さんにも、夢を与えることができるのではと考えています」
最高の包材と栽培方式が付加価値を提供
香港やシンガポールへの輸出を展開するうえで、常に問題になっていたのが発芽やカビの発生だったのだとか。「大半は船で輸送されるので、冷蔵庫は13℃帯、他の野菜との混載であれば5~6℃という環境になります。どうしても温度差で結露して、カビや腐敗が発生してしまいます。ロス率を勘案して、末端単価が高くなり、日系のスーパーや百貨店といった高級店でしか扱うことができないという状況でした」
現地流通が限定されてしまっては、拡販は難しくなります。芋そのものの品質向上も試みましたが、包材の影響はかなり大きいと判断し、適合する商品を模索。そんな時にP-プラスと出会ったといいます。
「ウチみたいなベンチャー企業に、営業にきてくれたのは大変ありがたかった。実際に試験をしてみると、その差は明らかでした。多少、高めの包材ではありますが、P-プラスを導入することで、他の産地と差別化ができると考えました。そこで、輸出品だけでなく、国内出荷分も袋入りの商品はすべてP-プラスに切り換えることにしました」
現地バイヤーの反応はもちろん、日本国内でも「アオイさんのさつまいもはいつでも新鮮だね」という声が寄せられるようになったのだとか。相手に求められ、喜ばれる商品を出荷するのが、自分たちの使命なのだと池田社長は言い切ります。
「このP-プラスは最高の包材だと思っています。日本の野菜は安全というのは当然で、今はそのプラスアルファが求められる時代。最高の包材や当社の栽培方式など、付加価値の部分を提供することで、さらに串間のさつまいものブランド力がアップしていくものと確信しています」
ここ串間を“さつまいもの聖地”に!
今後はさらに海外展開を加速していきたいと考える池田社長。日本の農業は世界の競争に打ち勝つチカラを持っていると、身を持って実感していると力強く語ります。
「当社の目標は、串間を世界一のさつまいもブランド産地にすること、イコール“さつまいもの聖地”にしたいと思っています。“聖地”には世界中から多くの観光客や農業従事者が集まってきます。そのためには、やるべきことはたくさんあります。海外農場の展開、留学生の受け入れなど、具体的な施策も動き始めています。世界的視野を持った当社が、日本中のさつまいも農家に先駆けて、新製品の結露防止フィルムタイプのPープラスを全面採用したのも、何かの運命だと感じています」
強烈な地元愛と作物に対する思いが、世界へ羽ばたこうとする池田社長の原動力。P-プラスもその大きな夢を実現する一助となるに違いありません。
お客様の情報
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株式会社くしまアオイファーム 様 〒888-0006 TEL: 0987-72-1197 FAX: 0987-27-3943 当社は生産・加工・販売まで一貫して行っており、手に取ったお客様の顔を想像し、芋洗いや袋詰めは全て手作業で行っています。技術が進歩し、自動化・効率化を図る事も可能ですが基本は「商品に人の想いを込めること」を考え「いいものをいい価格で」をコンセプトに質の高いさつまいもをお届けしています。 |