2014年6月のP-プラス青果物
JAオホーツク網走【アスパラガス】

JAオホーツク網走【アスパラガス】

オホーツク海の流氷も消えて、北海道の東端の網走地区に、ようやく遅い春が訪れる5月。いよいよ、すべての植物が生き生きとして春を謳歌しはじめるシーズン到来です。そして5月の下旬ともなると、気温上昇とともに、道民が待ちに待ったアスパラガスの季節がやってきました。

JAオホーツク網走は、畑作や長芋の産地として有名ですが、日本東端のアスパラガス産地としても知る人ぞ知るという存在。5月下旬から7月上旬までのシーズン中に、約4000キロ収穫されるアスパラガスは、すべて消費者に直接、宅配されており、アスパラ好きたちにとって、6月の初夏を告げる風物詩 、季節野菜になっています。

地温がなかなか上がらないシーズンには発生が遅れることもありますが、そんな年でも秋のうちに養分をしっかり蓄わえたアスパラ根部は、気温の上昇を敏感に察知して、一気に生長する逞しさがあります。オホーツクのアスパラガスが、逞しく太く真っ直ぐに育っているのに、甘くて軟らかいのは、そんな理由があるのです。

JAオホーツク網走の立地は、オホーツク海に面し、海沿岸の砂丘と、その発達でできた能取湖、網走湖、藻琴湖、涛沸湖に到来する大白鳥や、砂丘に咲き乱れるハマナスなどの大群落が有名。また、ちょうどこのシーズンは丘陵を染め上げる芝桜が、日本でも有数な規模を誇ります。そして近年では、この地に育つアスパラガスが、もうひとつの名物になりました。

春の陽光を存分に浴びて太く真っ直ぐに育ったオホーツクのアスパラガスは、収穫したてはパキっと音がして折れるほどみずみずしく鮮度が高いのですが、その高い鮮度と甘い食味を、そのまま消費者のもとに届けなくてなりません。まず、朝に収穫されたアスパラガスは、午前中には集荷・選果場に搬入され選別作業を経て、ギフト用の500g袋に詰められます。出荷まで予冷されるとともに、内地には航空機を利用して運ばれ宅配はクール便。この間、完全なコールドチェーン輸送。ほぼ48時間という短時間で届けられるのです。

この流通システムで、最も肝心なのが、鮮度食味保持フィルムであるP-プラスを利用していることでしょう。P-プラスフィルムは、収穫したての鮮度と食味、栄養成分を長時間保持できる資材。わが国の青果物流通業界では、カット野菜類やエダマメの標準的な包装資材になっているだけでなく、柑橘類の長期貯蔵や完熟果実の品質保持などでも効果が実証されています。まさに、食味自慢のオホーツクのアスパラガスに、まさにピッタリの資材だと言えます。

野菜類、とくに緑黄色野菜は健康にいいとされ、1日350gの野菜類を食べましょう、という農水省、厚生労働省が協働した消費拡大運動や、昨今の健康ブームを背景に、消費者とりわけ主婦たちの野菜消費には基本的に強い支持があります。白色野菜に比べて“緑色の濃い”野菜は、見るからに栄養分が豊富そうで、消費意欲も強いのですが、その中でもとくに消費者に好まれているのがアスパラガスだと言えます。過去20年、日本はバブル経済崩壊後の長い不況が続いたのですが、それでも健康志向だけは不動だったのです。

アスパラの生産・流通の実態を、東京市場における入荷動向でみてみると、過去20年(平成5年と25年対比)では、入荷量全体では4%も増加し平均単価では8%高くなっています。その理由は、いまやアスパラは周年にわたって流通・販売されていることと、かつては高かった輸入品の割合が減り、国内産地が成長してきたことです。そしてもうひとつ重要なことは、JAオホーツク網走産を代表する、本場・北海道産のアスパラが、「春のアスパラって美味しい!」と消費者に教えてくれたことで、アスパラが家庭での常備野菜になったことです。