2013年3月のP-プラス青果物
JA全農やまぐち【はなっこりー】

ご紹介

みんなで育てて、愛情たっぷり、ぶちおいしい~♪…こんなフレーズの歌が、山口県のスーパーの野菜売場で流れています。これは過去10年にわたって、山口県の代表的な地場野菜として大切に育てられてきた「はなっこりー」の歌です。イベントなどでは、はなっこりーのマスコットキャラクターである“ゆるキャラ”「はなっこりん」が、歌に合わせて踊りを披露するのだといいます。まさに、県民をあげて支援して愛用しているという、全国にも例をみない地場野菜なのです。

ちょっと見ると、菜の花のような形状をしたこの葉物野菜「はなっこりー」は、実は、代表的な中国野菜であるサイシン(菜心)を母親、ブロッコリーを父親として、山口県農業試験場によって選抜・育成された山口県の新しい野菜です。平成11年に品種登録されましたが、すでに平成8年くらいから試験的栽培が始まっていました。それが、いまや生産面積も17ha、生産流通量でも170トンまで拡大したのですから、新しく登場した地場野菜としては“大出世”です。この間、農家への生産普及と県民へのPRに、JA全農やまぐちが、組織をあげて全面的支援した成果であることはいうまでもありません。

「中国生まれの お野菜サイシン お母さん
もこもこアフロの ころころブロッコリー お父さん」

「はなっこりーの歌」はこんなフレーズで始まります。中国ではどこにでもある、最もポピュラーな菜っぱ類で、さっと油通しするだけで食べられるサイシン。糖質もグルタミン酸も豊富なブロッコリー。その両親の“いいとこどり”の「はなっこりー」は、茎が柔らかいために、花蕾と一緒にさっと1~2分ゆでると食べられる、鮮やかな緑で甘みがあり、クセもないのでサラダをはじめ和・洋・中のどんな料理にも利用できる、といった特性を持ったスグレもの。そんな品種の由来を、歌を通じてみんなが知っているという野菜も他に例を見ません。

これだけ山口県民に浸透しているのには、いくつかの理由があります。まず、その生産・販売期間です。「はなっこりー」が開発された当初は、1品種しかなく、厳冬期には出荷量が少なくなり、出荷量の波がありました。それがいまでは、新たに2系統が加わったことで、9月から始まったシーズンは、冬を過ぎて春から初夏の6月までの長期間にわたります。夏の一時期は別にして、ほぼ一年中出回っているのですから、県民にとって最も身近な地場野菜として愛されるようになったのです。

ふたつめの理由は、その柔らかい食感の保持と品質管理のため、年間に出荷される70万袋(1袋170g入り)のすべてにMA包装(P-プラス)が採用されていること。小売店の店頭での販売から、家庭に買って帰ってからもロスにならず、いつまでも同じ食味が楽しめるという軟弱野菜は、だれからも重宝されます。それに加えて、公開されているレシピも充実しています。

こうして県民にいきわたった「はなっこりー」は、いま、東京や大阪など大消費地からも「なんとか分けてもらえないか」という問い合わせが殺到しているといいます。もちろん、優れた食味と品質を持った軟弱野菜だから、ということもありますが、それ以上に「山口県民みんなが愛用している、地域限定の特産野菜だから」という理由からです。

いま消費者は、どこでもいつでも手に入る商品には魅力を感じなくなっていますし、なんの由来もない新商品にも興味を示しません。しかし「はなっこりー」のように、「みんなで育てて、愛情たっぷり、ぶちおいしい~♪」と、地域に支持され育てられてきた商品こそが、現代における魅力的な商品なのです。

どこにでも品質保持流通ができるP-プラス包装を武器にして、「はなっこりー」が全国制覇する日が近いことを祈らずはいられません。