ご紹介
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いまや薬味だけでなく、家庭でも和風サラダやスパゲティーなどにトッピングとして利用されるオオバは、料理の名脇役としてすっかりお馴染みの“和風ハーブ”です。柔らかさとほのかな香りが身上。子どもたちにも自然に受け入れられ、お母さんたちの手作り料理の引き立て役として大活躍です。
そんなオオバも30年ほど前には、料理の飾りが主な役割の“ツマ物”でした。利用するのは業務用のプロで、家庭での消費はほとんどありませんでした。オオバの産地も、飾り用のオオバを生産するために、綺麗に形を揃えシワひとつない、まるで工業製品を作るような高い技術を持っていました。そのため、消費者もオオバは飾り物であって食べるものではない、といったイメージを持っていたものです。
そのような特殊な食材であったオオバが、いまや一般の野菜と同じように買われ、使われるようになっています。そんな食の革命をもたらしたのは、実は、ツマ物としてのオオバを生産してきた、高い技術を持った愛知県のオオバ産地。そこには、変化する需要動向に敏感に反応し、消費者ニーズに即応していくことが、産地としての役割であり誇りである、との確信を持ってチャレンジしてきたオオバ生産農家たちがいたのです。
オオバ消費の普及拡大に伴って、いまは全国各地に産地が広がっていますが、愛知県の豊川市に本拠を置く東三温室園芸協同組合は、最も伝統的な“本家”オオバ産地のひとつ。現在でも、70数名の生産農家が年間750万パックものオオバを生産、販売するわが国の代表的な産地です。この産地が、地域の5つの生産組織とともに、全国のオオバ産地のリーダーになって果たしてきた役割は大きなものがあります。
昭和の終わりとともにバブル経済が崩壊し、世の中が不景気になっていく過程で、業務用に特化していたオオバ産地は大きな危機に見舞われました。そこで、大きく減少した業務用需要をカバーしようと着手したのが、一般の消費者に喜んでもらえるようなオオバ作りでした。
平成13年には、それまでの手詰め包装から機械包装に転換して、出荷能力を5倍に高めてコスト削減を図るとともに、愛知県の農業試験場とも連携し、柔らかくて香りがよくとくに夏場に美味しい品種「愛経-1号」を躊躇なく導入しました。さらに、その品質を、市場から小売店を経て家庭まで保持できる、家庭で常に美味しい状態で食べてもらえるための鮮度保持包装「P-プラス」を採用しました。いまや同組合から出荷される小袋のP-プラス包装オオバは年間255万パックにものぼります。
日本一のマーケットである東京市場で、オオバの入荷動向をみてみると、5月に気温が上昇するに伴って急増し、最も需要のある夏の3ヶ月にピークを形成しています。ところが23年には、東日本大震災によって東北から北関東の産地がダメージを受けるとともに、震災後の業務用需要の不調の影響もあって全体の入荷も減ったのですが、それまで6割のシェアを持っていた不動の主産地・愛知県産は、震災がらみで減った他県産の減少をカバーして、この年は7割以上の出荷を受け持ちました。全体の需給動向に即応して、機敏に出荷を増減させることができる、愛知産オオバの“底力”を物語るエピソードです。
薬味としてトッピングとして、食の豊かさを演出するオオバに求められるのは、安心・安全な食材であることはもちろん、最も重要なのは柔らかさと香りです。その鮮度と食味を保持するためのP-プラス包装との組み合わせは、まさに名コンビ、良き“相棒”だといえるでしょう。