2011年3月のP-プラス野菜
鹿児島産【ナバナ】

ご紹介

春の到来を告げる野菜、といえば、なんといってもナバナでしょう。江戸時代には、初物好きな江戸っ子のニーズに応えて、江戸川などの農家がナバナの早出しを競って、たびたびの奢侈禁止令の対象になったという文献も残っているほどです。現在では、東京地区には千葉県の房総半島からの出荷がメインになりましたが、それでも、春の季節野菜として大きなナバナ需要のある東京マーケットには、12月ともなると四国、九州などの西南暖地からの出荷も始まり、3月に入荷のピークを迎えます。
 ナバナの出荷形態は、主産地の千葉が伝統的な紙巻の束結束をしているため、通常の市場流通では結束しただけの無包装品が主流ですが、首都圏などの生協組合員さんたちによく知られているのが、鹿児島産のP-プラス包装ナバナです。共同購入品として宅配されてきても変色もなく鮮度が高く、濃い食味、香りも強いのが鹿児島産ナバナの特徴。そんな評価が定着しているナバナなのです。
 このナバナは、豆類を中心とした春野菜の主産地、鹿児島県で、約30年前から有機農業を継続してきた「かごしま有機生産組合」から出荷されているもの。12月から3月までの4ヶ月間、10万パック近いP-プラス包装"有機生産ナバナ"を供給している産地です。春の到来が早い鹿児島県ですが、同時に年内から年明けにかけて、内地より早く温度が上昇するため、鮮度・品質保持にも気を使わなくては産地立地にもあります。そのため、同生産組合では他産地に先駆けて5年前からP-プラス包装を採用して、生協組合員に喜んでもらっています。

かごしま有機生産組合は、1984年(昭和59年)にわずか10名で「有機農業」を目指してスタートした、わが国では先駆的な有機生産組合ですが、現在では、その生産農家143名にも拡大し、その生産地は鹿児島県内12市35町にも及んでおり、JAS有機認証済み生産者が88名、認証済み圃場面積は約128haという、日本でも有数な有機農業団体に成長しました。
 年間の栽培品目は、ニンジン約250トン、ジャガイモ200トン、サツマイモ約330トン、大根約15万本のほか、野菜で67品目、このほか果樹・有機レモン・有機ポンカンなど約20品目。有機米・有機黒米・雑穀・有機紅茶・緑茶なども生産しています。これを、全国の生協を中心に切れ目なく供給していますが、その主な取引先をみると、地元のコープかごしまを始め、大地を守る会、ポラン広場、らでぃっしゅぼーや、よつば連絡会、東都生協、パルシステム、京都生協、コープ九州、北海道有機農協など。わが国、「有機栽培農産物」取り扱いでは代表的な組織へ供給し続けてきたことが分かります。

そんな同組合のすばらしい実績は、国からも認められるほどになりました。平成20年度から新たに始まった、農林水産省の「有機農業総合支援対策」の中の、「地域有機農業施設整備事業」に全国で初めて採択され、「鹿児島有機農業技術支援センター」が開設されました。ここでは、有機農業を志す人々へ技術、知識を提供し、生産農家としての独立をサポートするための宿泊研修を実施。また地域の就農者支援の拠点としても活用されています。

有機農業は、国際的にも認知された、自然・環境に負荷のない持続可能な農業を行うために、無農薬・無化学肥料で栽培する手法です。それだけに、通常の慣行栽培より手間ヒマやコストもかかり独自の技術も必要で、生産される農産物も通常流通する商品のような規格品ばかりが生産できるわけではありません。多少、鮮度が落ちていても、曲がりや変形があっても、虫食いが見られても、「有機栽培農産物」は独自の価値があるはずです。
 一般商品を見慣れている消費者にとっては、不良品にみえる有機農産物も、環境を保全する農法によって苦心して生産された農産物、という理解をする消費者からは、強い支援が寄せられています。が、どんな品質のものでも、"有機農産物"なら黙って売れる、という姿勢が見られがちな有機農業生産者のなかにあって、かごしま有機生産組合は「よりたくさんの消費者に、喜んでもらいたい」「品質のいい商品として評価してもらいたい」という熱意と誇りで際立っています。
 一般商品と比べても遜色ないうえに、有機農法で生産されたものなら、どんな消費者にからも高い評価が得られるもの…。有機農業の先駆者として、長年にわたって努力と苦労を積み重ねてきた同組合ならのではの結論なのでしょう。「有機栽培されている野菜類は、自然の力によって育まれた野菜本来の濃厚な食味と香りがあります。P-プラス包装は、そんな私達の思いと、自慢の野菜品質とを、消費者にそのまま届けてくれる技術だと思っています」(同組合農産管理課安楽藤弘課長)