「One Sumibe活動」とイノベーションを融合し、SDGsに貢献する新製品・新事業を創生する
研究開発
執行役員 研究開発本部長
中西 久雄
研究開発活動においては、高集積デバイス、自動車・航空機、ヘルスケアの3つの創生領域において、SDGsへの貢献とカーボンニュートラルの実現に向けて、社会・顧客ニーズに応える研究テーマの構想・企画、技術開発をスピード感を持ってシームレスに行うことを目指しています。
新たな機能を発現する「物質創成」、究極のモノづくりを目指した「革新プロセス」、構造と機能の関連を解き明かす「高度評価解析技術」を基本テクノロジーとして、さらなる製品開発能力の増大を目指しデータ駆動型開発への移行を推進しています。
2022年度には、「モーターステーター用エポキシ樹脂」、「パワー半導体用Si Bare向けAgシンタリングペースト」、「半導体用絶縁ポリマー」、「パワーモジュール用エポキシ樹脂注型材」、「機構部品用高強度フェノール樹脂成形材料」、「胃ろう用ボタン型カテーテル」、「内視鏡用針状高周波ナイフ」、「再生医療用細胞培養容器」、「バイオマス原料使用医薬品包装用フィルム」、「紙板対応バリアスキンパックフィルム」、「超耐候ポリカーボネートシート」などの新製品を開発・上市しました。
研究開発部門の方針および体制
当社グループは、国内・国外に開発拠点をおき、緊密な連携をとりながらグローバル市場のニーズに応える研究開発を行っています。
国内は、研究開発の中長期的視野に立ち、新製品やその要素技術の研究を担当する先端材料研究所およびバイオ・サイエンス研究所、生産技術開発を担当するコーポレートエンジニアリングセンター、新製品の商品化や既存製品の改良研究を担当する5つの応用研究所(情報通信材料研究所、HPP技術開発研究所、フィルム・シート研究所、産業機能性材料研究所、SBカワスミの殿町メディカル研究所)という体制をとっています。
国外は、コーポレート部門拠点を米国オハイオ州アクロンに、半導体関連材料の拠点を中国、台湾、シンガポールに、高機能プラスチック関係拠点を米国、カナダ、ベルギー、スペイン、中国、インドネシアにそれぞれ設けています。
また、イノベーションを継続的に創出できる組織であり続けることを目指し、当社グループに適したイノベーションマネジメントシステムを構築、全社展開しています。当社グループにとっての新規市場に関する情報の入手、適社性や競争優位性の判断などフィージビリティスタディを迅速に進めることで、新規事業への挑戦を続けています。
【TOPIC】バイオマス原料使用の医薬品包装用フィルムを開発
当社グループは、原料の50%以上にバイオマス原料を配合した包装フィルム「スミライト®NSバイオマスシリーズ」を開発し、日本バイオプラスチック協会が定める「バイオマスプラ」の認証マークを取得しました。植物由来のバイオマス原料を使用することで環境負荷の低減に貢献する一方、従来の「スミライト®NSシリーズ」より高防湿性と良好な成形性の両立を実現しました。
顧客への技術サポートを継続し、環境負荷低減製品の拡大を図っていきます。
【TOPIC】熱硬化性成形材料で、国内初の大型射出部品成形に関する技術を開発
当社グループは、熱硬化性樹脂成形材料で国内初の射出成形による大型成形品に関する技術を開発しました。開発した技術は、大型成形に必要な解析技術、成形機メーカーとコラボレーションした専用の射出成形機を用いた高寸法精度成形技術、さらに耐衝撃性に特徴がある射出成形対応の熱硬化性長繊維材シリーズです。これにより、国内初となる射出成形による成形品重量1kg相当の部品を成形することが可能になりました。
この技術をこれまで当社で培ってきた自動車部品用の高強度材料、「高寸法精度材料シリーズ SiON®」やめっき複合化技術「PM-Plamecシリーズ」などに展開をすることで、電動アクスルなどの大型金属部品の樹脂化への展開を図ります。
知的財産
知的財産戦略の推進による事業競争力と企業価値の向上を目指す
当社グループの知的財産活動は、事業戦略、研究開発戦略と一体となった知的財産戦略の推進により、企業価値の向上に貢献することを目指しています。それを達成するための中期的な目標として、知的財産(権)の活用により、事業競争力の向上に貢献することを掲げています。
研究開発のグローバル化に対応するため、海外関係会社の知財関連規定の整備(職務発明規定、秘密情報管理規定)や発明が生まれた際の取り扱いルールなどの取り決めを、各関係会社と進めています。
知財活動に関する基本方針は以下の6つになりますが、今後は、①と⑥に注力していきます。①については、特に海外における競争力強化を進めてまいります。⑥については、知財情報の活用・応用や競合分析などを行い、新規提案力をより一層高めていきます。
① | 各事業部門の主要製品に対する知財戦略の立案と実行により、事業競争力を強化する。 |
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② | 各研究所の主要テーマに対する知財戦略の立案と実行により、知財競争力を強化する。 |
③ | 知財リスクへの対応を明確にし、事業リスクを低減する。 |
④ | 事業シナリオ、研究シナリオを支援する予防法務の継続に加え、提案型の予防法務を実施する。 |
⑤ | 住友ベークライトグループ全体(特に海外関係会社)の知財管理体制を構築する。 |
⑥ | IPランドスケープの実践により、事業競争力の向上に貢献する。 |
2022年度の出願のうち、SDGs貢献製品・貢献技術に関連する出願は全体の40%でした。
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