セグメント別事業概況
高機能プラスチック
「パイオニア」から「イノベーター」へ、
高機能プラスチックを通じて
世界に新たな価値を発信します
取締役 専務執行役員鍜治屋 伸一
HIGH PERFORMANCE PLASTICS
2023年度振り返り
前中期経営計画は新型コロナウイルスにより先行き不透明な中でスタートしました。中でも2年目の2022年度は、半導体不足等による自動車の生産減少、国際物流の混乱や物流コストの高騰などさまざまなネガティブ要素がありましたが、その中でも特に原料価格の急騰が大きなインパクトを与えました。
2023年度もこの流れを引きずり、事業を取り巻く環境は大変厳しいものでした。上期はスマートフォンやパソコン、家電などの民生機器の需要の大きな落ち込みによる在庫調整や、欧州での物価高騰による住宅需要停滞の影響を受けました。しかしながら、下期に入ると民生機器用途の在庫調整が一巡し、ようやく回復の兆しが見え、各拠点で連携しながら需要を取り込むことができました。また、航空機事業につきましても、新型コロナウイルスによる低迷から回復し、従来の北米だけではなく、新設した欧州拠点での新規案件の獲得や、これまで積み重ねてきた合理化の成果により、黒字を定着することができました。事業利益は、前中期経営計画は未達ではあったものの、厳しい事業環境の中、事業ポートフォリオ変革の取り組みの成果を実感することができました。
2023年度のセグメント業績
主なSDGs目標
事業の特徴・強み
- 熱硬化性樹脂のパイオニアとして築いてきた技術力
- 樹脂、成形材料、成形品の一気通貫のバリューチェーン
- 主要市場に対応したグローバル事業体制
- リグニン変性フェノール樹脂、バイオマスベースポリマーなど、環境対応技術と製品群
- 自動車、エレクトロニクス、航空機といった主要産業のサプライチェーンとの強いつながりと顧客との信頼関係
- 「One Sumibe活動」による事業横断でのソリューション提案力
事業におけるリスクと機会
機会
- 自動車の電動化の加速
- 世界各地の環境規制の強化
- 環境対応製品の需要増
- 中国内製化の加速と需要拡大
- 航空機需要のさらなる拡大
リスク
- 原材料、エネルギー、物流コストの上昇
- 主力製品の競争激化、また市場成熟化による成長の鈍化
- カーボンプライシング導入による製造コストの増大
業績の推移(実績と中期経営計画)
2024年度の事業戦略
01. 既存事業の収益力を強化
- グローバルでの生産拠点の最適化
- 人生産性向上を目的としたスマートファクトリー化
- 中国南通工場にフェノール樹脂成形材料の新ラインを立ち上げ
- 最新鋭のスマートファクトリーのノウハウをグローバルに活用
02. 高付加価値製品へのポートフォリオ変革
- <強化領域>モビリティ(xEV)、航空機用途、半導体関連でのパワーモジュール用放熱材料、液状エポキシ樹脂、感光性材料用ポリマーなどを順次拡大
- 「One Sumibe活動」を軸に顧客への価値提案を行い、信頼関係を高め相互協力を促進
03. 循環型社会への適応
- 循環型社会の実現によるプラスチックとの共生を目指し、熱硬化性樹脂のケミカルリサイクル技術の開発、社会実装に取り組むプロジェクトを推進
04. SDGs貢献製品の伸長と高機能化
- 「樹脂、成形材料、成形品」一気通貫のバリューチェーンの強みを活用
- 半導体領域では、熱マネジメント製品で高寿命化や熱効率化を図る
- モビリティ用途では、軽量化やCFP(カーボンフットプリント)が高い他素材から熱硬化樹脂成形材料への切り替え
- 非可食植物由来の樹脂や低VOC製品等の開発と供給体制の構築
強化領域の製品例
環境対応製品例
リグニン変性樹脂
フラン樹脂
ケミカルリサイクル実証プラント