コーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方
当社グループは、「プラスチックの可能性を広げることで、持続可能な社会を実現する」とパーパスを定め、顧客をはじめとしたさまざまなステークホルダーの価値の創造に貢献したいと考えております。そのためには、社会から信頼され、社会に必要とされることが重要であり、コンプライアンスの徹底をはじめ社会・環境への適合性の高い経営、経営を取り巻くリスクへの対処が効率的かつ効果的に行われる体制の構築を進めています。
コーポレート・ガバナンス強化の取り組み
2002年 | 社外取締役1名を選任 |
2004年 | 経営の意思決定迅速化・経営責任の明確化を図るため、執行役員制度を導入し、取締役の員数を17名から8名に削減 |
2005年 | 取締役の任期を2年から1年に短縮 |
2015年 | 社外取締役を1名から2名に増員 |
2016年 | 取締役の指名・報酬について独立社外取締役の意見聴取を行う仕組みとして、指名・報酬諮問委員会を設置 |
社外取締役を2名から3名に増員 | |
社外監査役として女性監査役1名を初めて選任 | |
取締役会実効性評価を開始 | |
2018年 | 社外役員との情報交換・認識共有を図る場として、社外役員会を設置 |
2021年 | 社外取締役として女性取締役1名を初めて選任 |
独立社外取締役3名体制(取締役の1/3) | |
指名・報酬諮問委員会の権限を強化し、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会に改組 | |
2023年 | 役員に対する譲渡制限付株式報酬制度の導入 |
経営体制
取締役会
当社は、監査役設置会社であり、2024年6月25日現在、取締役9名(うち独立社外取締役3名)、監査役4名(うち独立社外監査役2名)を選任しています。取締役会の議長は、代表取締役社長が務めています。
例月の取締役会では、重要な業務の決定とともに、月次の業績の報告と各取締役から重要な業務についての進捗などが報告され、議長は十分な議論が行われるよう配慮し、監査役からの意見や報告を聴取しています。なお、競業取引や利益相反取引に該当する場合には、あらかじめ取締役会で承認を得るとともに、事後適宜にその結果を報告することとしています。
2023年度においては、合計13回開催され、法令、定款または当社の取締役会規則などで定められた重要な業務執行に関する事項について決議を行うとともに、業績および各事業セグメントの概況報告ならびにサステナビリティ推進委員会をはじめとする各種の社内委員会の審議内容の報告のほか、ESGにかかわるサステナビリティの推進に関する事項、当社を取り巻くリスクおよびその対応策などのリスクマネジメントに関する事項、DE&Iに関する取り組みや従業員に対するエンゲージメントサーベイの調査結果の検証などの人的資本の活用に関する事項、取締役会の実効性評価結果に基づく実効性の向上に関する事項などについて、報告・審議を行いました。また、2024年度から開始される新中期経営計画の策定に関して複数回にわたり重点的に審議を行ったほか、中期経営計画でも掲げたビジョン「お客様との価値創造を通じて『未来に夢を提供する会社』」の実現に向けて、取締役会の決議により、新たな経営の重要課題(マテリアリティ)を定めました。
監査役会
監査役会は、常勤監査役2名および非常勤の独立性を有する社外監査役2名で構成されており、財務・会計・法務に関する知識を含む適切な経験・能力を有する者から成る多様な構成を維持し、公正不偏で効率的な監査活動を実施していく方針です。また、監査役の指揮命令下で、監査室との兼務で内部監査に関する知見を有するスタッフ(監査役付属)1名が監査役会および各監査役の活動を補佐しています。監査役会は、法令、定款および監査役会規程の定めに従い、監査に関する重要事項について決議、協議、報告および検討を行っており、取締役会に先立ち月次で開催するほか、必要があれば臨時に開催することとしており、2023年度は19回開催し、開催時間は平均1時間21分でした。
監査役会は、健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現し、社会的信頼に応えることができる良質な企業統治体制の確立に資するため、環境の変化に柔軟に対応し、公正不偏で透明性のある監査を実施することを基本方針としています。その上で、実効性向上のために毎年度監査活動を振り返り、その実効性の評価・検証を全監査役で議論しています。前年度の評価・検証の結果、各事業活動の現場の調査の有用性を確認したことから、2023年度も2022年度に続き可能な範囲で実地の往査に注力することにしました。その上で、当社が抱えるリスクを検討し、当社グループが重要な経営課題として取り組んでいるサステナビリティ活動を支える「当社グループのガバナンスおよびリスク管理の状況の確認」、「当社グループの内部統制システムの整備・運用状況の確認」ならびに「当社グループの法令、定款、規程等の遵守状況の確認」の3点を監査の重点項目とする当事業年度の監査計画を定め、2023年6月22日開催の取締役会にその概要を報告し、取締役の協力を得て監査活動を進めました。さらに監査役会は、次のような活動を行っています。
- 代表取締役社長執行役員と原則、四半期ごとに会合を持ち、監査活動の報告や会社経営をめぐる諸課題について意見交換を行いました。
- 会計監査を行う有限責任 あずさ監査法人との間で、年間を通して会合を持ち、年間監査計画、リスクの評価と監査の重点領域、監査上の主要な論点、監査職務の遂行状況などに関して情報共有や意見交換を行い、四半期レビューや会計監査人監査報告書についての報告を受けています。また、2022年度までにその有用性が確認されたことを踏まえ、引き続き常勤監査役が会計監査人の国内往査の監査講評への立ち会いや中国および欧州の重要な子会社4社に対する往査への同行などを行い、相互連携を深めながら、総合的に会計監査人の監査の相当性を確認しています。なお、会計監査人が過去の他社の監査に関連して当事業年度に日本公認会計士協会などから受けた処分についても適時に報告を受け、当社への影響が軽微であることを確認しました。特に、「監査上の主要な検討事項」については、会計監査人から候補として提示された海外子会社ののれんの評価などに関連した具体的なテーマ数件について、2023年度の監査計画、期中の四半期レビュー結果報告、期末の監査報告等の各段階で、監査の進捗に合わせて数度にわたり会計監査人と議論したほか、海外往査での子会社との議論にも立ち会うなど、慎重に検討しましたが、意見の相違はありませんでした。
- 取締役会や監査役監査の実効性をより高めるため、社外取締役との連携も重視しており、取締役会の前に後述の社外役員会に全監査役が出席し、M&Aを含む重要な投資案件、重要な事業再編、サステナビリティ活動といった取締役会の議案や報告事項、取締役会の実効性の評価などについての意見の交換や経営に関するさまざまな情報の共有を行っております。さらに、監査役会は、国内事業所、子会社への往査を、可能な範囲で希望する社外取締役と協働で実施することとしています(2023年度は1か所協働で訪問)。
- 内部監査部門との連携にあたっては、社長と並行して監査室長から対面で個々の内部監査の結果の報告を受けているほか、監査室が行う内部監査の監査講評や往査への立ち合い、さらには監査室と定期的な交流会を通じて、監査計画、監査アプローチ、結果報告、監査後のフォローの各段階について、その実効性の確保に向けた助言や意見交換を行っています。常勤監査役は、それらの状況を適宜監査役会に報告するほか、年に1度は社外監査役も監査室との定期交流会に参加するなど、監査役会と監査室は緊密な連携を保っています。
各監査役は、監査計画に基づいて、取締役会をはじめとする社内の重要な会議に出席するほか、代表取締役社長と定期的な会合を行う(原則四半期ごと)などの監査活動を行い、監査活動を通じて気づいた事項について、取締役や業務執行部門に適宜課題提起や提言を行います。その中で、常勤監査役は、積極的に監査の環境整備および社内の情報収集に努め、常勤者としての業務分担に従って、重要な起案決裁や経営会議の資料の回覧を受けているほか、リスクマネジメント委員会やコンプライアンス委員会などの重要な会議への参加や、リスクアプローチで選定した事業所や子会社への往査および会計監査人の会計監査往査や監査室が行う内部監査往査への立ち会いを積極的に行っています。2023年度は、当社のサステナビリティ活動の高まりを踏まえ、新たにサステナビリティ推進委員会にも参加し、マテリアリティや人権方針の制定などについて積極的に提言を行いました。また、社外監査役は、監査役会での活動に加え、取締役会以外の、役員連絡会、業務連絡会、予算会議などの重要会議に参加するほか、事業所や子会社の往査にも可能な範囲で参加し、その専門的な知見を踏まえた提言を行っています。
執行役員制度・役員連絡会
当社は、執行役員制度を導入し、取締役会で選任する執行役員は業務執行の責任者として、取締役会で決定された方針に基づいて社長の指揮・命令のもとで業務を執行しており、2024年6月25日現在、執行役員17名(取締役兼務者6名を含む)を選任しています。
毎月1回取締役、執行役員および監査役で構成する役員連絡会を開催し、取締役会で決定された方針や重要事項が周知されるとともに、業績の報告、各執行役員からの業務の執行状況の報告がなされ、重要事項のレビューや情報の共有が行われています。
執行役員制度により、重要な業務の決定と業務の執行を分離し、取締役会の役割としての業務執行の監督の実効性を高め、業務執行の迅速化と責任の明確化が図られています。監査役は、取締役の職務の執行を監視し、取締役会が適正にその役割を果たしていることを監査しています。このように取締役、監査役、執行役員がそれぞれの責任と役割を果たすことにより、株主をはじめとするステークホルダーの信頼に応え得る企業統治がなされております。
なお、2024年6月25日時点における当社の役員(取締役、監査役および執行役員)24名のうち男性は20名、女性は4名であり、女性の比率は約17%となっています。なお、監査役1名を除き、全員50歳を超えています。
社外取締役・社外監査役
社外取締役松田和雄氏は、金融機関および事業会社の経営者として培った豊富な経験と幅広い見識を有しており、これらの知見を生かして客観的な立場から適切な意見や貴重な助言をいただくことを期待しています。また、同氏には、指名・報酬委員会において委員を務めていただいています。
社外取締役永島惠津子氏は、公認会計士としての専門的見地ならびに財務および会計に関する幅広い見識を有しており、これらの知見を生かして客観的な立場から適切な意見や貴重な助言をいただくことを期待しています。また、同氏には、指名・報酬委員会において委員を務めていただいています。
社外取締役若林宏之氏は、大手メーカーの生産統括、技術全般およびITデジタルなどを担当する経営者として培った豊富な経験と幅広い見識を有しており、これらの知見を生かして客観的な立場から適切な意見や貴重な助言をいただくことを期待しています。また、同氏には、指名・報酬委員会において委員を務めていただいています。
社外監査役山岸和彦氏は、弁護士としての専門的見地および経営に関する幅広い見識を有しており、これらの経験や知見を当社の監査に生かしていただいています。
社外監査役川手典子氏は、公認会計士および税理士としての専門的見地ならびに財務、会計および経営に関する幅広い見識を有しており、これらの経験や知見を当社の監査に生かしていただいています。
なお、当社は、取締役会の決議により、「取締役・監査役の独立性基準」を定めており、上記の社外取締役および社外監査役の各氏は、同基準に基づき独立性を有していると判断しています。また各氏は、株式会社東京証券取引所が定める独立役員として届け出を行っています。
また当社では、社外取締役、社外監査役、総務本部・経理企画本部統轄取締役、総務本部担当執行役員、常勤監査役、総務本部および経理企画本部から構成する社外役員会を毎月開催しています。社外役員会では、当社グループの決算概況の報告、各セグメントの担当役員からの事業紹介、取締役会の議題に関する事前説明などを行っており、社外取締役および社外監査役との間で、当社グループの事業戦略や経営課題に関する情報の交換や認識の共有を図っています。
コーポレート・ガバナンス体制
指名・報酬委員会
当社は、取締役の指名・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、独立社外取締役(株式会社東京証券取引所に対して独立役員として届け出を行っている取締役をいいます)が過半数を占める指名・報酬委員会(従来、取締役の指名および報酬などの額の決定に関して取締役会に答申を行ってきた指名・報酬諮問委員会を、権限を強化して2021年6月24日付で改組。2024年6月25日現在、委員長:代表取締役社長藤原一彦、委員:独立社外取締役松田和雄、永島惠津子、若林宏之)を任意に設置しています。
指名・報酬委員会は、取締役の指名に関しては、取締役の選任および解任、代表取締役の選定および解職ならびに代表取締役社長の後継者計画について審議を行い、その審議結果を踏まえて取締役会に対して答申を行うこととしています。また、取締役の報酬に関しては、取締役会の決議に基づく委任を受けて、取締役の報酬など(制度・方針を含む)に関する事項について決定を行うこととしています。
2023年度においては、上記に従い、取締役の指名に関しては、取締役候補者の選定および新たな取締役体制に基づくスキル・マトリックスの設定などについて審議を行い、取締役の報酬に関しては、各取締役に対する個別の月額報酬支給額および賞与の役位別の支給額ならびに株式報酬支給額および割り当て数を決定しました。
なお、同委員会は、2023年度において合計4回開催され、構成員の全員がそのすべてに出席しました。
役員報酬
当社の取締役の報酬は、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう、業績や株主価値と連動した報酬体系を構築することとしており、具体的には、役位に応じた固定報酬として「月額報酬」、事業の年度計画の達成への意欲を高めるための短期インセンティブとして「賞与」、および株主との価値共有を促進するための中長期インセンティブとして「株式報酬」により構成しています。ただし、社外取締役の報酬は、月額報酬のみとなっています。月額報酬は、在任期間中に毎月定額を金銭で支給することとし、経営環境や経済情勢などを総合的に勘案し、役位ごとに個別の支給額を決定しています。賞与は、事業利益に一定率を乗じて算出した額を支給総額とし、個別の支給額は、役位や職責などに応じて支給総額に一定率を乗じた額により算出しています。株式報酬は、譲渡制限付株式報酬とし、役位ごとに定めた支給額に応じた数の譲渡制限付株式を割り当てることとしており、その譲渡制限期間は、当社の取締役および執行役員のいずれの地位からも退任する日までとしています。当社の取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬などの総額に対する各報酬の割合は、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう、役位や職責などに応じて適切に定めることとしています。
なお、2023年度の取締役の報酬は、賞与の支給総額については取締役会が決定し、取締役の個人別の月額報酬、賞与および株式報酬の額については、取締役会決議により指名・報酬委員会に決定を委任しています。
監査役の報酬は、基本報酬(月額報酬)であり、その総額および個別支給額は、株主総会で決議された報酬の限度額の範囲内で、監査役の協議により決定されます。
2023年度における役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)7名に対して総額426百万円(月額報酬235百万円、賞与162百万円、株式報酬28百万円)、監査役(社外監査役を除く)3名に対して総額55百万円(月額報酬55百万円)、社外役員5名に対して総額58百万円(月額報酬58百万円)を支給しています。
取締役会の実効性についての分析・評価
当社は、取締役会の実効性評価を毎年度実施することとしており、取締役会の構成員であるすべての取締役・監査役に対するアンケートに基づく自己評価・意見集約、その分析結果に基づく各会議体での議論・意見交換、これらを踏まえた取締役会での評価結果の総括・課題設定、そして課題の改善に向けた取り組みの実施というプロセスを通じて、PDCAのサイクルを回すことで取締役会の実効性を向上させることとしています。
2023年度の取締役会の実効性に関する分析・評価の結果の概要は、次のとおりです。
1. 評価プロセス・評価方法
- ・2023年12月開催の社外役員会において、前年度の実効性評価結果に基づく課題の改善に向けた取り組みの進捗を確認するとともに、2023年度の実効性評価の実施方針・方法について議論を行い、定点観測およびPDCAのサイクルを回す観点から、前年度に続きアンケートに基づく自己評価を行うのが妥当であるとの結論に至りました。
- ・その結果を踏まえて、2024年1月開催の取締役会において、2023年度の実効性評価の実施方針・方法等を確認した上で、2024年2月にすべての取締役および監査役を対象に、アンケートを実施いたしました。
- ・アンケートでは、前年度に続き、「取締役会の構成」「取締役会の運営」「付議事項」「情報提供」を大項目として設定し、各設問を4段階で評価する方式といたしました。また、忌憚のない意見を収集することを目的として、各設問に自由記述欄を設けるとともに、設問趣旨を設けることで焦点を絞ることとしました。さらに、客観性・透明性を確保することを目的として、アンケートの策定当初に得た外部弁護士の意見も参考としたほか、前年度に認識された課題や当社の現状の取り組みを踏まえた内容としました。
- ・上記のアンケート結果を匿名化した上で集計を行い、その集計結果をもとに、2024年4月開催の経営会議(常勤取締役が出席)および社外役員会でそれぞれ意見交換を行いました。これらの会議体での議論や提示された意見等を踏まえて、2024年5月開催の取締役会で審議を行い、次項以下のとおり、評価結果の総括および新たな課題とその改善に向けた取り組み方針の設定を行いました。
2. 評価結果の概要および前年度に掲げた取り組みの対応状況
アンケートの結果、大項目として設定した「取締役会の構成」「取締役会の運営」「情報提供」については定量面・定性面のいずれにも問題はなく、これらの実効性は確保されていると評価しました。一方で、大項目の「付議事項」のうち、前年度に取り組みとして掲げた「付議に至る議論の共有の促進」について、以下のとおり引き続き不十分であるとの指摘があったほか、決議事項と報告事項のバランスについてもメリハリを付けるべく検証をすべきではないかとの意見があり、実効性を向上させるためには、これらについてさらに踏み込んだ改善を要することを確認しました。
なお、前年度に掲げた取り組みの対応状況およびその評価結果は、それぞれ次のとおりとなりました。
-
・取り組み1「中長期の企業価値向上に資するテーマの取締役会での審議を強化する」
(対応)サステナビリティや人的資本をはじめとしたESGに関する議題に加えて、2024年度から開始する新中期経営計画に関する議論を積極的に行うことで、中長期の企業価値向上に資するテーマの取締役会での審議件数を増加。(評価)上記の対応を受けて、大幅に改善しているとの評価となった。今後は、それぞれのテーマについて議論のさらなる深掘りを実施していくことを確認した。
-
・取り組み2「付議に至る議論の共有を促進する」
(対応)付議案件の提案取締役による経営会議の議論の取締役会での説明の積極化、および社外役員会での意見や指摘を社内取締役より取締役会にフィードバック。(評価)社外役員より、経営会議の議論の取締役会での共有が引き続き不十分であるとの指摘が多数なされ、十分な改善には至っていないとの評価となった。特に経営会議を経て取締役会に付議される過程が見えにくいといった指摘があり、付議のプロセスの明確化が必要であることを確認した。
3. 新たに認識した課題とその改善に向けた取り組みの方針
前述のとおり、実効性は概ね確保されていると評価されたものの、「付議に至る議論の共有の促進」および「決議事項と報告事項のバランス」に関して改善を要することが指摘されたことを踏まえ、付議に至る過程(経営会議での議論や、取締役会での決議・報告に至った経緯・背景等)の共有が課題となっていると考えられました。そこで、これらの改善策として「アジェンダの設定プロセスの明確化」を今後の取り組みの方針と位置付けることで、さらなる取締役会の実効性向上に努めることとしました。
内部統制
当社グループでは、「基本方針(経営理念)」に基づき、会社の業務が適正に行われることを確保するための体制を整備しています。さらに、取締役会で定めた「内部統制システム構築の基本方針」(サステナビリティ経営やガバナンス強化の取り組みを踏まえ、そのさらなる推進を目指して、2023年2月28日開催の取締役会の決議により一部改定)に基づき、定期的に体制の見直しを行うとともに、内部統制のさらなる充実に向けたさまざまな活動に取り組んでいます。
財務報告にかかわる内部統制については、「財務報告に係る内部統制基本規程」に基づき、当社グループの財務報告の信頼性を確保するための体制を充実させ、内部統制の実施、評価、報告および是正などの適切な運営を行うとともに、会社情報の適時適切な開示を行っています。さらに「連結子会社の内部統制に係る包括的指針」により、子会社における内部統制構築および統制活動の持続的な運営を図るため、子会社が取り組むべき事項を明確にしています。
2024年3月31日現在の当社グループの財務報告にかかわる内部統制については、内部監査部門による評価の結果、有効であると判断しています。さらに会計監査人による監査の結果、財務報告にかかわる内部統制の評価について、内部統制報告書に適正に表示していることも認められました。
役員紹介(2024年6月25日現在)
取締役および監査役
代表取締役社長 社長執行役員
藤原 一彦
- 1980年 4月
- 当社入社
- 2009年 6月
- S-バイオ事業部長 執行役員
- 2013年 4月
- 常務執行役員
- 2014年 6月
- 取締役
- 2016年 4月
- 専務執行役員
- 2018年 6月
- 代表取締役社長(現任)
社長執行役員(現任)
代表取締役 副社長執行役員
稲垣 昌幸
研究開発本部、先端材料研究所、バイオ・サイエンス研究所、生産技術本部、光回路事業開発部統轄 コーポレートエンジニアリングセンター担当
- 1982年 4月
- 当社入社
- 2009年 6月
- 執行役員
宇都宮工場長
- 2013年 4月
- 常務執行役員
- 2015年 6月
- 取締役
- 2017年 4月
- 専務執行役員
- 2021年 4月
- 副社長執行役員(現任)
- 2022年 6月
- 代表取締役(現任)
取締役 専務執行役員
小林 孝
神戸事業所、フィルム・シート研究所、フィルム・シート営業本部、医療機器事業本部、S-バイオ事業部、尼崎工場統轄
- 1987年 4月
- 当社入社
- 2007年 9月
- 南通住友電木有限公司総経理
- 2013年 4月
- 執行役員
- 2017年 4月
- 常務執行役員
- 2018年 6月
- 取締役(現任)
- 2021年 1月
- 川澄化学工業株式会社(現SBカワスミ株式会社)
代表取締役(現任)
- 2023年 4月
- 専務執行役員(現任)
取締役 専務執行役員
倉知 圭介
半導体関連材料セグメント統轄
- 1985年 4月
- 当社入社
- 2016年 4月
- 執行役員
九州住友ベークライト株式会社 代表取締役(現任)
- 2018年 4月
- 常務執行役員
- 2022年 4月
- 台湾住友培科股份有限公司
代表取締役(現任)
- 2022年 6月
- 取締役(現任)
- 2023年 4月
- 専務執行役員(現任)
取締役 専務執行役員
鍜治屋 伸一
高機能プラスチックセグメント統轄
- 1989年4月
- 当社入社
- 2019年4月
- 執行役員
- 2022年4月
- 常務執行役員
- 2024年6月
- 専務執行役員(現任)
- 2024年6月
- 取締役(現任)
取締役 常務執行役員
平井 俊也
総務本部、人事本部、経営戦略企画室、サステナビリティ推進部、大阪事務所、名古屋事務所統轄 経理企画本部、IT推進本部、調達本部担当
- 1986年 4月
- 住友化学工業株式会社(現住友化学株式会社)入社
- 2022年 7月
- 当社執行役員
- 2023年 4月
- 常務執行役員(現任)
- 2023年 6月
- 取締役(現任)
社外取締役
松田 和雄
- 1971年 4月
- 株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)入行
- 2000年 4月
- 富士証券株式会社(現みずほ証券株式会社)専務執行役員
- 2000年10月
- みずほ証券株式会社常務執行役員
- 2009年 6月
- 日本精工株式会社取締役代表執行役専務
- 2011年 6月
- 日本精工株式会社特別顧問
大同メタル工業株式会社監査役(現任)
- 2015年 6月
- 当社監査役
- 2016年 6月
- 当社取締役(現任)
社外取締役
永島 惠津子
- 1978年10月
- 等松・青木監査法人(現有限責任監査法人トーマツ)入所
- 1980年 7月
- 公認会計士附柴会計事務所入所
- 1982年10月
- 公認会計士登録
- 1988年 6月
- 公認会計士永島会計事務所開設 代表(現任)
- 2008年 4月
- 監査法人ベリタス代表社員
- 2016年 6月
- ブルドックソース株式会社
取締役(監査等委員)(現任)
- 2019年 6月
- 当社監査役
- 2021年 6月
- 当社取締役(現任)
社外取締役
若林 宏之
- 1979年 4月
- 株式会社デンソー入社
- 2006年 6月
- 株式会社デンソー常務役員
- 2013年 6月
- 株式会社デンソー専務取締役
- 2014年 6月
- 株式会社デンソー取締役・専務役員
- 2015年 6月
- 株式会社デンソー専務役員
- 2016年 6月
- 株式会社デンソー取締役・専務役員
- 2017年 4月
- 株式会社デンソー代表取締役副社長
- 2024年 6月
- 当社取締役(現任)
常勤監査役
竹崎 義一
- 1985年 4月
- 当社入社
- 2008年 6月
- 人材開発部長
- 2015年 4月
- 執行役員
- 2021年 4月
- 常務執行役員
- 2023年 6月
- 常勤監査役(現任)
常勤監査役
青木 勝重
- 1986年 4月
- 住友化学工業株式会社(現住友化学株式会社)入社
- 2012年 3月
- 住友化学株式会社 内部統制・監査部長
- 2019年 6月
- 当社常勤監査役(現任)
社外監査役
山岸 和彦
- 1984年 4月
- 弁護士登録
- 1995年 9月
- ニューヨーク州弁護士登録
- 1998年 3月
- あさひ法律事務所 パートナー(現任)
- 2015年 6月
- 新コスモス電機株式会社 監査役(現任)
- 2019年 6月
- 当社監査役(現任)
社外監査役
川手 典子
- 1999年 4月
- 監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所
- 2001年 7月
- 公認会計士登録
- 2003年 4月
- 川手公認会計士事務所開設
所長(現任)
- 2004年11月
- 税理士登録
- 2008年 2月
- クレアコンサルティング株式会社設立
代表取締役(現任)
- 2011年 5月
- いちご株式会社取締役(現任)
- 2011年11月
- 米国公認会計士登録
- 2015年 2月
- キャストグループ(現キャストグローバルグループ)
パートナー(現任)
- 2021年 6月
- 当社監査役(現任)
ニチレキ株式会社監査役(現任)
執行役員
副社長執行役員
朝隈 純俊
常務執行役員
指田 暢幸 鈴木 真
執行役員
田中 厚 中西 久雄 金沢 敏秀 池山 寧久 沖 博美 野村 浩史 大久保 明子 森 健
取締役および監査役のスキル・マトリックス
当社の取締役会は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、経営陣の業務執行を監督するという責務を遂行するための知識・経験・能力を備えた社内の取締役、および客観的な視点に基づいて会社の方針や業務執行に意見を述べることが期待できる社外取締役により構成していく方針です。取締役会が必要とする重要な知識・経験・能力などと各取締役との関係は、以下の表のとおりとなります。
氏名 | 会社における地位 | 知識・経験・能力など | |||||||
企業経営 | グローバル | 営業・ マーケティング |
製造・ 生産技術 |
研究開発 | サステナビリティ・ESG | DX・ 情報システム |
財務・会計 | ||
藤原 一彦 | 代表取締役社長 社長執行役員 |
● | ● | ● | |||||
稲垣 昌幸 | 代表取締役 副社長執行役員 |
● | ● | ● | |||||
小林 孝 | 取締役 専務執行役員 |
● | ● | ● | |||||
倉知 圭介 | 取締役 専務執行役員 |
● | ● | ● | |||||
鍜治屋 伸一 | 取締役 専務執行役員 |
● | ● | ● | |||||
平井 俊也 | 取締役 常務執行役員 |
● | ● | ● | |||||
松田 和雄 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||||
永島 惠津子 | 社外取締役 | ● | ● | ● | |||||
若林 宏之 | 社外取締役 | ● | ● | ● |
- ※本表は、当社の取締役会が必要とする知識・経験・能力などのすべてを表すものではありません。
また、各取締役の知識・経験・能力などは、主なものに●印を付けています。
また、当社の監査役会は、財務・会計・法務に関する知識を含む適切な経験・能力を有する者から成る多様な構成を維持し、公正不偏で効率的な監査活動を実施していく方針であり、監査役会が必要と考える重要な知識・経験・能力などと各監査役との関係は以下の表のとおりとなります。
氏名 | 会社における地位 | 知識・経験・能力など | ||||
企業経営・組織運営 | 財務・会計 | 法務・コンプライアンス | 内部統制・リスク管理 | グローバル | ||
竹崎 義一 | 常勤監査役 | ● | ● | ● | ||
青木 勝重 | 常勤監査役 | ● | ● | ● | ||
山岸 和彦 | 社外監査役 | ● | ● | ● | ||
川手 典子 | 社外監査役 | ● | ● | ● |
- ※本表は、当社の監査役会が必要とする知識・経験・能力などのすべてを表すものではありません。
また、各監査役の知識・経験・能力などは、主なものに●印をつけています。
コーポレート・ガバナンス報告書
- コーポレート・ガバナンス報告書(PDF 254KB)[2024年6月28日更新]
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- 2024/08/05 IR情報 IRライブラリに「2025年3月期第1四半期決算説明会資料・決算概要」を掲載しました
- 2024/08/05 IR情報 2025年3月期第1四半期決算短信(PDF 712KB)