今回は scientific reportsに発表された論文:Comparison of the effects of oxidative and inflammatory stresses on rat chondrocyte senescenceをご紹介します。
中高年に多く見られる変形性関節症(OA)は関節を構成する骨や軟骨などの組織に変性・変形が起こり発症します。発症・進行には軟骨細胞の老化が重要な因子です。本研究では、軟骨細胞の老化に影響を及ぼす酸化ストレスと炎症ストレスについて、ラットの軟骨細胞を用いて比較を行いました。
本研究ではPrimeSurface 96Uプレートを使用して、ラットの軟骨細胞の3Dスフェロイドを作製しました。酸化ストレスおよび炎症ストレスはスフェロイド作製前後でそれぞれ加えて軟骨細胞の細胞外マトリックス(ECM)産生・分解について評価をしました。酸化ストレスは細胞増殖を抑制し、ECM産生能を低下させる一方、炎症ストレスはSASP (Senescence-associated secretory phenotype)因子の遺伝子発現を増加させ、ECMの分解を促進することが示されました。
酸化ストレスと炎症ストレスはラット軟骨細胞の老化へ異なる影響を及ぼし、OAにおいて、酸化ストレスよりも炎症ストレスがSASPの主たる引き金であることが示唆されました。 |