創薬における動物実験の限界と倫理的問題から、より正確な評価を可能にする動物実験代替法として注目されているのが生体模倣システム(Microphysiological system、MPS)です。 今回論文紹介で取り上げたのは東海大学木村先生の研究グループが開発した新しいMPSプラットフォームです。従来のポンプ駆動システムを使わず、ウェル間の送液を可能にしたこのデバイスは24ウェルプレートをベースとして高いユーザービリティを実現しました。
4臓器までの連結培養が可能で、最大6系統の評価が一度に行え、スループット性も改善しました。肝細胞と小腸細胞の共培養実験では、小腸のバリア機能と肝細胞の代謝に関連する遺伝子発現レベルの増加が確認されました。 当社はAMED再生医療・遺伝子治療の基盤技術開発事業に参加し、プラスチックの表面処理技術や精密加工技術を用いて、MPSデバイスの開発に積極的に取り組んでいます。 2022年からは本論文の著者たちと共同で、この連結培養の革新的なプラットフォームの開発を進めています。このプラットフォームは、臓器間相互作用を研究するための有力なツールとなり、創薬研究におけるユニバーサルプラットフォームとして期待されています。
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